北茨城からの帰り道、岡山中央卸売市場・豊栄水産の翔さんから電話が入った。
「茨城の魚屋さんで楽しそうなところ申し訳ないんですけど、明日、豊栄便送りますから!」
おお、まさかの珍魚祭り。
まあでも、美味しい魚はいくらあっても大丈夫ですからね!
「それはよかった。今回は例のやつと、あとめちゃくちゃデカイの行きますんで、カクゴしといてくださいね!」
えっなにそれこわい
ふだんはこんな勿体ぶった物言いしない翔さんがここまで言うなんて、いったい何がくるんだ…?
翌日。
デカイ箱キター!
中身はなんだ…?
ドデカイのキター!!
翔さんに電話だ!
~♪
あ、もしもし翔さんどうも、デカイのが到着しました!
これ、カスザメですよね?
「さすが、よくご存知で!ひょっとして食べたことあります?」
いえ、ありがたいことにまだです!
昔、釣りをしてるときに、目の前で泳いでるのを見たことはありますけど…
「よかったー。調べてみると、結構美味い魚らしいですね!」
そのようですね…いろいろ試してみます!ありがとうございます!
お風呂場解体でスプラッター
というわけで我が家にやってきたカスザメ。
鹿児島で揚がり、活けで岡山に届いたものをきっちり締めて送ってくれたらしい。
にしてもデカい。
余裕のメーターオーバーだ。
とてもじゃないがキッチンでは捌けないので、風呂場で解体作業を行うことに。
アメナマ以来である。
まな板と出刃包丁を持ち込み、本能のままにぶった切っていく。
飛び散る血、内臓、そして粘液で滑る床。
バラバラ死体遺棄事件の犯人の気持ちをモロに追体験できる。
図体はデカいがさすが軟骨魚類、骨を切るのにさほど苦労はしないですんだ。
その代わり皮膚がめちゃくちゃ硬い。
厳密にいうと鱗の部分が。
サメの鱗は盾鱗と呼ばれており、おろし器に用いられるのはよく知られているが、近年の研究で、あの無限に生えてくるサメの歯もこの盾鱗がもとになっているということが分かったそうだ。
それくらい硬い。
その中でも、カスザメの盾鱗はとりわけ硬いように感じる。
出刃の歯も少し欠けてしまった。
砥ぎ直し、キッチンばさみも併用しながらザクザクと切り進めていく。
「インバネス」を捌く
さて、カスザメはご覧の通りとてもユニークな形状をしている。
ホームズが羽織っていることで知られる「インバネスコート」にシルエットが似ているため「いんばねす」と呼ばれることもあるのだが、これほどぺったんこでもなんとサメに分類されるらしい。
サメとエイの違いは鰓孔の向きにあり、鰓孔が側面にあるとサメ、底面にあるとエイとなる。
なのでサカタザメは完全にエイなのだが、カスザメはというと
側面下部から底面にかけて穴が開いている。
ということでこれだけでは全く区別ができない。
ではどこでサメと定義されたかというと、頭部と頭部よりの左右の鰭の間に切れ目があり、頭部が独立した構造になっている点だ。
これにより「サメかどうかは置いといて、エイではないなぁ…」という妥協心が生まれ、サメと比定されたようだ。
個人的にはそれよりも、この見事なまでの鮫肌のせいではないかと考えているのだが…
というわけで、頭部、腹部、尾部、鰭×4という風に、構造に従って解体した。
これをそれぞれ処理していくことにするが、続きはまた次回に。
コメント
最近僕の売り場が「水族館」と呼ばれています笑
鰭を落とすと確かに卑猥な形ですね‼︎
危うくビールを噴射する所でした笑
あの店の前のイケスにこんなのが泳いでたら、みんな見に来るでしょうね!(笑)
ヒワイなんですよ…気づいたとき、僕も鼻水出ました!裏側の中心に筋が1本通っていて、それがまた…(笑)