「ぴんだこ」(ボウズイカ)を生で食べてみた

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岡山の魚介の地方名はなかなかユニークなものが多い。

たもり(セトダイ)なんかはその筆頭だし、化下(オオシタビラメ)も分かりやすくキャッチーだ。

そんななか、今回届いた豊栄便に入っていたものは、その名前からは全く種にたどり着けないものだった。
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イカなの?タコなの?

前に翔さんと電話をしていたときに、岡山で流通するイカやタコには変わったものが何種類かいる、ということを聞いた。

そのなかでも「ちこべか」「ぴんだこ」の2つはかなり独特のもので、関東ではあまり見かけないのでは?と言われた。
確かにそれらの名前を関東の市場で聞いたことはない。

特徴を聞いてみると、ちこべかは丸い耳がピロピロとついた小さなイカで、ぴんだこはそれがデカくなったようなものらしい。
ん?イカがデカくなったようなタコってどういうこっちゃ?


謎を抱えたまま時は流れ、そしていま目の前に突如登場したそれは
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…めっちゃラブリー(´ω`*)

でもこれは、イカだな。
だって足が10本あるもの。


調べてみると、これはボウズイカという仲間のイカで、日本海と茨城以北の太平洋側に生息している北方系のものだという。
鳥取や島根で水揚げされたものが山陽地方で流通しているようだ。


ボウズイカは「ダンゴイカ科」という100人中70人くらいがそう名付けたくなる科に属している。
名前の由来は
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この丸っこい胴。
この胴のせいでイカらしさが薄まっており、タコの「頭」(実際は胴)にも見えるため、「ぴんだこ」という地方名がついたのだろう。


なお「ちこべか」は同科の「ミミイカ」というこちらも100人中110人がそう名付けるであろう種の、岡山での呼び名である。
こちらは関東にも棲息しており、ヒイカなどの小型イカの釣りに外道として混ざってくる。
釣り人たちには「ミッキーマウス」とも呼ばれているが理由は推して知るべし。

むしろチェブラーシカ?

むしろチェブラーシカ?

ボウズイカを生で食べてみる

ミミイカと比べるとはるかに大きいボウズイカ。
触ると色が変わるくらい新鮮で、これはやはり一度刺身で食べてみたい。
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ということで内臓を抜き、皮をひいて適当な大きさに切り分ける。
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醤油でいただきマース

…(・~・*)
お、これはなかなか…!
身の薄さはムギイカやマルイカくらいしかないが、その割に肉質が強靭で歯ごたえがある。
やや水っぽさがあるが甘みは強く、「あれ、九州の刺身醤油使っちゃった?」と思ってしまうほど。

これ、イカよりタコに近いな!
タコの胴の刺身そっくりだ。

耳(エンペラ)の部分はコリコリとして、途端に普通のイカっぽくなる。
この食感の違いはなかなか面白い。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

さて、今回のボウズイカはすべての個体がを持っていた。
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まったく未成熟の白い塊、粒がわかれて黄色く色づいているもの、さらに成長して網目状の模様ができているものの3つの卵がひとつの個体から出てくる。
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取り分けて、ポン酢をかけて食べてみた。
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…(・~・)
ある程度成長し、粒が立っているものはねっとりとした食感があり、ミズダコの卵に似たうま味とほろ苦味があってなかなかの珍味である。
これはたぶん油で焼いても美味いやつだな。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

白い塊は…
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…(×Д×;)
口当たりは良いけどえぐ味とアクの中間みたいな味で、舌の上にべっとりと貼りついてかなり不快。
これは生じゃあかんやつや…

味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆

次回は加熱調理をやってみます。

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魚介その2(魚以外)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. akicici より:

    懐かし~(^^♪ 姿、「べいか」の親玉?
    うちらへん(備中)では「ちこべか(みみいか)」が「べいか」で、「ひいか」は「べいか」とは言いませんでした。
    最近は「ひいか」も「べいか」と呼ばれるみたいですが?味も姿も違うのになんでやろ?
    みみいかの漁獲が減ったのかしら?
    べいか(みみいか)は殆ど関西では流通しませんので、あのねっとり甘い煮つけが食べられません(;_;)
    豊栄水産様のネットショップ、早く開業してくれないかしら。

    • wacky より:

      地方名、ややこしいですね(・・;)ベイカとヒイカは互いに似ているのでごっちゃにされるのもわからなくはないですけど。。
      せっかく備中にお住まいなら、直接買いに行かれては??

      • akicici より:

        >せっかく備中にお住まいなら、直接買いに行かれては??

        誤解を与えて申し訳ありません。
        備中育ちの関西住まいです(^_^;)

  2. 廣瀬 修 より:

    手の平サイズは見た事無いですね。親指大のミミイカは見ますけど。
    先にコメントされておられる方がベイカとヒイカを混同されてますがヒイカは福島以南から高知にかけての太平洋沿岸に生息。ベイカは瀬戸内海・九州(有明海)から朝鮮半島・中国沿岸に生息するとされてますが同一種(亜種,近縁種)か決定的な証拠はないみたいです。

  3. 一読者 より:

    いつも楽しく拝見させてもらっています.白い塊はイカの未成熟の卵巣では無く抱卵腺じゃないでしょうか?余計なお世話、または間違いだったらすいません.

  4. 通りすがりの水産学部(イカ学専攻) より:

    いつも楽しく拝見させていただいています。過去記事にコメント失礼します。

    白い塊はイカの纏卵線(てんらんせん)ですね。イカは産卵するときに卵をゼラチン質の膜で覆うのですが、そのゼラチン質の膜を作るのがこの纏卵線です。生食したケースは初めて聞きましたが(笑)茹でて、珍味として食べられているところもあるようです。

    ベイカとヒイカの問題ですが、ベイカは正式なイカの名前でありますがヒイカは地方名で、図鑑にはヒイカという名前で載っていません。ヒイカの正式名称はジンドウイカです。
    ベイカもジンドウイカ属で外見からの判断はパッと見はわからないので、結局ベイカもヒイカもジンドウイカ属の小型のイカを指している、というおおざっぱな見解でよいと思います。食べればおいしい小型のイカ、くらいの認識で…笑

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