ホラガイの身は酒の力でも物理の力でも、生きたままきれいに取り出すことはできない

「野食のススメ」第11回の記事が公開されました!!
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話の枕ばかり大きくなってしまいましたが、いよいよ本命のボウシュウボラの話。

前回、カコボラの記事を書いたときにコメントで「この中途半端野郎」「タイトル詐欺」と煽られたのでワイの中のアングリーがドッカーンし、もっとちゃんとしたホラガイで再トライせねばと決意を固めていたところに、丸吉商店さんからのご連絡。

というわけで、ボウシュウボラを3つほど持ち帰ってきたのだった。



ボウシュウボラは関東周辺以南の浅海にすむホラガイの一種で、最大で殻長25㎝程度になる。
われわれが普通に手に入れられる貝の中ではとびきり大きいが、本家ホラガイが40cmを超えることを考えると「大型」というにはちょっと物足りない。
イセエビの刺し網によく引っかかってくるので、イセエビ漁が盛んな地域ではよく水揚げされ売られている。

見た目がきれいなので店頭だと目立つが、殻が堅くて大きく、捌きづらいうえに歩留まりがとても悪いので価格は安い。
今回購入した一番大きなものは25㎝を超えていたが、それでも600円。
20㎝くらいまでなら200円程度で購入できる。

三浦周辺では「けっぽ」と呼ばれ、居酒屋で刺身などを食べることができる。

 

ボウシュウボラの身は生きたままきれいに取り出せるのか

ミッションは前回同様、酒の力を用いて、殻を割らずに生きたまま身をつるんと取りだすこと。


前回と同様、殻の入り口を下にして宙ぶらりんにし、その下に酒の入った器を置いておく。
酒にあてられたボウシュウボラがぬるんと出てきて器の中に落ちればミッション完了だ。

ただ、前回の様子からたぶん不可能だろうと思ったので、物理で身を取り出すのも試してみることにした。

ウツボ用の針に糸を結び、


油断して顔を出しているときにブスッと引っかけて


ハングドマン状態にしたものと


深海釣り用の巨大な錘をぶら下げたものをセッティング。
このまましばらく放置してみる。


24時間後。

お酒の方は……

あんまり顔出してないな……
こいつら殻に引きこもるときの力すごいけど、顔そのものはすぐに出すという性質があるので、この程度だとお酒の力とは言えない。
まだ元気っぽいので実験を続けよう。

物理サイドは……

ハングドマンは結構身が出てきた。
ここまではみ出ても、ちょっと物音を感じるとすぐに殻にこもる(=殻を懸垂して中に入り込む)のは素直にすごい。
あとどう見ても拷問でしかないので心が痛む。仮にこの方法で身が綺麗に出るんだとしても、あんまりやりたくないぞ……


錘の方は一番期待していたが、全然出てこない。
他のよりも大きな個体だから筋肉が強いのかな……錘を増やして実験続行だ。


48時間後。

お酒は……

オッめっちゃダラーんってしてる!
下の方はお酒に漬かってるし、まるでお酒を飲みに出てきたようにも見えるぜ!

でも、これもうかなり弱ってるけど、それでも全身が出てくる気配は全くなさそう。

ためしに、殻に指を突っ込んで貝柱(巻貝の貝柱は吸盤状で、殻の入り口のちょっと上にある)を触ってみたが、がっちりと殻に張り付いていて剥がれる気配は皆無だった。

このまま続けても死んで腐敗してしまうだけだろうな……ということで、この実験は終了。
この結果より、酒の力でホラガイを生きたまま取り出す、というネタは「ガセ」の可能性が高いと結論付けたい。



最終的に宙吊り酒蒸しにして筋肉部分だけ切り出したけど、しっかり加熱しても内臓は取り出せなかった。


物理の方は……


めっちゃはみ出てるー!!
触るとシュッと殻に戻るが、またすぐに身が出てきて殻が垂れ下がってしまう。
筋肉が相当疲弊してきているのだろう。

でも、貝柱を確かめるとやっぱり強固にくっついたまま。
無理やり引っ張ってみたが……


筋肉部分だけがちぎれてとれてしまった。
これを生きたまま取り出すのは無理でしょ……

錘の方は全くうんともすんとも言わず。
ダメですなこりゃ。

ボウシュウボラよりカコボラのほうが絶対美味しいよ

というわけで実験は残念な結果に終わった(ほぼ読めてましたけど)。
まあそれはそれとして、ボウシュウボラは味の評価が高いので食べてみましょう。


まずは引っ張って切り出した筋肉部分を酢と塩と流水でよーくモミモミしてぬめりを落とし、

薄くスライスして、刺身に。

いただきマース
……(`・~・´)
うん、コリコリしているね。
とてもコリコリしています。
あとあれだ、コリコリ感が強いね。
コリコリしているうえに貝の風味もある。

……うん、美味しいよ、美味しいんだけど、ぜったいカコボラのほうが美味しい。
甘みが全然違うし、身もカコボラのほうが柔らかくて、あと唾液腺が渋くない(生で食べるのは厳禁だけど)。

ボウシュウボラの魅力は強靭な歯ごたえと磯の風味、それから食べごたえかな。
唾液腺が渋いのはしょうがないんだけど、唾液腺の周囲までも渋い個体があるので、ハズレを引くとちょっとしんどいねぇ……
(カコボラはハズレだと全体が強烈に渋いのでまったく食べられないんだけど)



残りはスライスしてからオリーブオイルでソテーし、さらにワイン蒸しにしてみた。
加熱したほうが柔らかみが出て、僕は好みなんだけど、こうすると甘みがもっと薄くなっちゃうのは残念。

味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆


結局どの方法でも、内臓まできれいに取り出すことはできなかった。
しょうがないので加熱して取り出そうとしたが……ちっとも出てこない。


やむを得ず殻の先端を割り、水を流し込んでみたがこれもダメ。

これ……やっぱり戦国武将スタイルに則って、砂に埋めて腐らせて取り出すしかないんでしょうかねぇ……
彼らは筋肉部分はどうしてたんだろう、そこだけ切り出して食べたりしなかったのかしら。。

 
 
 

コメント

  1. pom より:

    先日城が島でホラ貝買ってきて自宅で調理しましたが、生きたまま抜き出すのはむりでしたね
    茹でてから蓋をヘラで引っ張ったらワタまで綺麗に抜けました
    今度コンプレッサーのエアガンで奥に空気を押し込んで抜いてみようと考えています

    • wacky より:

      絶対、加熱したほうがいいですよね! 殻だって痛むわけじゃないし……

      空気はどうでしょうね、先端に空気穴を作っても出ませんでした(´・ω・`)

  2. てれさ より:

    おー。待ってました。
    お酒は無理でしたか…。
    期待してたのですが…。残念。

    以前、小ぶりのホラガイの仲間を刺身にしようとした時に貝柱を剥がそうとして諦めましたが、これはこの仲間の貝柱が強いのであって、例えばサザエなんかはもっとずっと簡単に取れるのでしょうか?

    • wacky より:

      おおむね、そのご理解でよろしいかと思います。サザエの貝柱は指でも剥がせますし、ヌメリも少ないので巻貝類トップクラスの取り出しやすさです。

  3. ふたつき より:

    甘辛煮された後のバイガイの話ではありますが、入口を下に向け、下から手でトントンしてたら出てきましたよ。
    日本刀を分解する時もタバコを箱から出す時も手でトントンですもんねぇ。

    • wacky より:

      バイガイはそうなんですよ……あれはまだ取り出しやすいほうみたいです。ホラガイ類は常にぶんぶん振り回して取り出すカンジですw

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