生キャッサバイモを恐る恐る調理して食べてみた

シログワイをゲットした後、そのままセンタービル地下をふらふらと歩いていると、キャッサバイモを見つけた。
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生のキャッサバイモを見かけたのは初めてだ。


キャッサバイモはご存じタピオカの原料で、熱帯を中心に栽培される極めて重要な主食作物だ。
生産量はイモ類としてはジャガイモに次ぐ2位、主食作物全体でもトウモロコシ・小麦・米・ジャガイモに次ぐ5位にランクインし、世界で5億人が利用しているという。(2008年時点)
作付面積当たりでは圧倒的ともいえる量のカロリー生産力を誇り、痩せた土地でも栽培可能で、切った枝を地面に刺しておくだけで簡単に増やせるというメリットの大きい作物だ。


採れたイモは食材として利用されるほか、デンプン源作物となったり、またバイオエタノールの原料になったりと様々な点で活躍しているのだが、日本では生芋として利用されることはほとんどなかった。

それはその毒性のせいである。

 

キャッサバイモの毒性

タピオカが流行り始めたころ「原料は毒のあるイモだ」という豆知識も同時に流布されたので、知っている人も多いのではないかと思うが、生のキャッサバイモには毒がある。
しかも、泣く子も黙るシアン化合物だ。


この毒のせいで有史以来大量の中毒者や死者を出してきた。
近年では2005年に、フィリピンで毒抜き処理が不十分なキャッサバの加工品を食べた小学生児童が集団食中毒を起こし、29人が死亡するというおぞましい事件が起こっている。
この事故の直後、日本でもキャッサバイモの輸入に規制がかけられている。

※この後、捜査により原因はキャッサバではなく、小麦粉と間違って農薬を使ってしまったこと(!)が原因だと判明したそうです。
輸入規制は空振りだったということか……

キャッサバが属するトウダイグサ科には、基準種のトウダイグサをはじめヒマ、ポインセチアなど死者が出るレベルの猛毒を持つものもたくさん含まれる。
キャッサバはデンプンこそ大量にため込むものの、本来は食用にするには向いていない植物と言えるかもしれない。

キャッサバイモって素人が調理してもいいのか!?

それでもヒトはトライ&エラーを繰り返し、キャッサバイモ食文化を築いてきた。
現在ではおもにデンプン源とするための苦味種(毒成分を多く含むが非常に大きな塊根を作る)と、生食利用のための甘味種の2つが栽培されている。

おそらくはどちらも、生の状態での輸入は規制がかけられたままなのではないかと推測するが、今回売られていたのはなんと鹿児島産の物。
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調べてみると、徳之島など先島諸島各地で少量だが生産がスタートしており、生産地ではキャッサバ料理コンテストのようなものも開催されているようだ。
食材としての認知度をじわじわ上げていて、そしてついに東京(のディープなところ)まで到達したのだろう。


とはいえ、前記の通りキャッサバイモの毒性はそれなりによく知られている。
甘味種であってもシアン化合物は含まれていて、なにも下知識なく調理すると危険なのでは……? と思うのは自然なこと。


売り場のお兄さんに確認してみると

「うーん、そうだね、南米では茹でてから冷凍したものが流通してるから、一度下茹でしたほうがいいんじゃない? あ、皮は剥いてね!」
とふわふわした返答が。
なんだか不安になるなぁ……

まあでも、ネットで調べたら情報は出てくるだろうし、買って試してみようかな。

キャッサバイモを調理して食べてみた

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断面はサツマイモに似ている。
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ウィキピーディア先生を見てみると、シアン化合物が含まれるのは表皮と芯の部分らしい。
ということで

皮を厚めに剥いて
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半分に切る。
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……この中央に走る筋が芯かな?

ということでさらに縦に割り
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面取りするように芯? を取り去る。
この筋の周囲がやや柔らかくなっており、念のためこの部分も芯と断定して切除する。


これをたっぷりのお湯で茹でる。
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明るい黄色になり、ますますサツマイモ度が上がった。


取りだしてようすをみる。

見た目はサツマイモだが、ホクホクした粉感はほとんどなく、角もしっかりと立っている。
皮は厚めに剥いたつもりだったが、茹でると残っていた皮がペロッとはがれてきたので取り除いた。
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この皮、取らなかったらどうなんだろ?
……
「ペロッ……これは……青酸化合物!」

ウソです。
味に違和感は無かったが、やや硬く食感が劣るので、面倒でも丁寧に取り除いたほうが良さそうだ。
もちろんアーモンド臭は全くないw


この状態で一口味見してみる。

…(・~・)

これは……サツマイモっぽいと聞いていたが、そんなことは無いな。
どちらかというとジャガイモ、しかも固く茹でたメイクイーンに歯ざわりは近い。
しかし噛んでいると粘りが感じられてジャガイモとも違うことが分かる。
後味に「インカのめざめ」程度の甘味がある。

嫌味は無く食感も悪くないが、非常にしっかりしているので、煮物とか味をしみこませる系の料理はなかなか苦労しそうだ。
むしろそのものの味を楽しむのが良さそう。


ということで
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カリッと揚げて
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塩コショウor砂糖で味付けして、「定番」フライドキャッサバイモにしてみた。

いただきマース

…(≧~≦)
うっまい!!

茹でてから揚げているので中がホクホクで外がカリカリ。
デンプン質が多いせいか、衣をつけなくても外側が実にクリスピーに揚がる。
しかも粘り気もあるので食べごたえがある。
ほんのりとした甘みなのでどんな味付けも良く合う。

フライド炭水化物のなかでは一番好きかも。

味:★★★★★
価格:★★★☆☆



食べてから一晩経っているが全く体に異常はない。
毒抜きが正しかったのか、それとも必要が無いくらい毒成分の少ないイモだったのかは不明だが、いずれにしても鹿児島産のキャッサバイモは手軽かつ安全に食べられる食材と考えて良さそうだ。


他の料理もいろいろ試してみたいので、これからも見かけたら買ってみることにする。
初めての人は深く考えずに揚げると良いよ! マジで美味いから!

 
 
 

コメント

  1. スマイル より:

    初めまして、いつも更新を楽しみにしています!
    今回の記事も興味深く拝見させて頂きました。
    ありがとうございます。

    今回の記事に気になった点がありました。フィリピンの食中毒は
    シアン化合物では無く最終的にはクマホス(農薬)の混入が
    原因だった様な・・・間違っていたら申し訳ないです。

  2. 鏡の破片 より:

    キャッサバ=有毒って事、こちらのサイトで初めて知りました。
    しかもトウダイグサ科でヒマと同じグループ、ってガチな奴じゃないですか。
    「キャッサバとは東南アジアとかアフリカとかで主食になっている芋である」って事を、中学レベルの地理の資料集とかにちらっと載っていたのを覚えていたり、
    「ココナッツミルクの中に入れられてエスニックなスイーツになっていたり、冷凍讃岐うどんの腰を再現させるために入れられるタピオカの原料はキャッサバである」って事を下手に知っていた場合、
    いざ目の前にそのキャッサバが売り物として存在していた場合、思わず買って有毒と知らず適当な調理方法で…って悲劇がありそうなんですが。

    もうちょっとリスク表示をして欲しいと思うのは私だけでしょうか。
    このサイトを知らず、その辺の八百屋にキャッサバが売り物としてあったら、私は多分面白半分に買ってしまい、処理方法を知らず適当な調理で喰ってしまってヤバいことになってそうなんですが。

    • wacky より:

      まあ、売られていたのがアメ横とはいえ一応日本国内ですし、本当に危険なものは販売しないと思います。僕が知らないだけで、甘味種のシアン化合物は無視できるほど少なく改良されているのかもしれませんしね。
      今回は一応念を入れて、このような処理をしましたけれども。

      ただ、自分を含め「キャッサバには毒がある」という知識を持つ人は結構いると思うので、毒が無いならないで「無毒だよ!」って断言してくれないと不安になるし、もし有毒なら下処理の方法をPOPにちゃんと明記したほうがいいと思うんですよね。
      まあセンタービル地下は本来在日外国人のためのマーケットだし、そんなことをする義理はないと言われたらぐうの音も出ないんですが(^^;)

  3. より:

    はじめまして。いつも楽しく拝見させて頂だいてます。去年からキャッサバを趣味で栽培しています。南米上がりの嫁が色々調理してくれます。下処理は、一日水に浸けておいて、白い独特の汁が出なくなれば完了と言っていました。肉と一緒に煮込んだ料理をよく作ってくれますよ。どんな調理も以外と美味いです。また、アメ横で購入する機会があれば、色々トライしてみて下さい。

    • wacky より:

      なるほど、水に漬けておくだけでも大丈夫なのですね。。勉強になります。
      味はとてもいいイモだと思いましたので、またいろいろ試してみたいと思っています。

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