マイナーだけど派手な磯つぶ「ヨウラクガイ」と「ウラウズガイ」を食べた

「磯つぶ」を採取するのはとても楽しい。

「磯つぶ」とは、潮間帯に生息する小型の巻き貝のうち、味のいいものを総称したものである。

ヨウラクガイ

こういうやつ


波打ち際には非常にたくさんの巻き貝類が生息しているが、そのうち半分くらいは磯つぶとして日本のどこかで利用されているようだ。
シッタカ(バテイラ)、キサゴ、ダンベイキサゴなど、漁業権が設定されているものはその土地では絶対に採ってはいけないが、それら以外にも非常に美味しい貝が、足元にたくさん生息している。
カサガイ、磯つぶ、海藻を知っていれば、釣りに行ってボウズを食らうことも全く怖くなくなるだろう。

デーハー磯つぶを採取する

先日、東伊豆のテトラをのぞき込んでいると、ちょっと変わった貝が蠢いているのを見つけた。

ヨウラクガイ

翼のような板が殻についている


上から見ると三脚巴

上から見ると三脚巴


一見イボニシに似ているが、殻にビロビロした装飾がいっぱいついていて、なかなか派手だ。
初めは海綿か何かが付着しているのかと思ったが、自前の殻だ。

ぼうずコンニャクさんのところで調べてみると、どうやら新腹足目アッキガイ科のヨウラクガイの一種のようだ。

ヨウラクガイ

殻口に謎の棘がある


イボニシが含まれるレイシガイ亜科とは近縁で、全体のシルエットは似ている。
しかし、ヨウラクガイ亜科はどれもデーハー(死語)な殻を持っており、なかなか装飾品が好きなようだ。
科の名前になっているアッキガイは、悪鬼の持つ棘だらけの棍棒に似ているためにその名がつけられたと言われており、貝殻収集の対象としても人気が高い。

もっとも、せっかくの殻の表面に海綿やフジツボが付着してしまっていることが多く、綺麗なシルエットが出ていないので本人たちには不満もあるだろうが。



ところ変わって西伊豆。
こちらでもテトラをのぞき込んだところ、綺麗な円錐形の貝が見つかった。

ウラウズガイ

バテイラのように滑らかではなくぼこぼこしている


ぱっと見は採取禁止のシッタカ貝(バテイラ)のようだが、殻の底面に波打つようなギザギザがついている。
ウラウズガイ

殻の縁が波打つ


さながらプリーツスカートのようだ。
また、石のようにしっかりした硬い蓋を持っている点もシッタカ貝と異なっている。
ウラウズガイ,蓋

蓋の裏面が非常に綺麗


この分厚い蓋はサザエの仲間か?と思ってぼうずコンニャクさんで確認すると、やはりサザエ科のウラウズガイに特徴が当てはまった。
殻の底面にごく細かい渦巻き模様があるのが名前の由来だろうか。
ウラウズガイ

分かりづらいけど、殻口の上に渦模様が見える


こちらは古腹足目なのでヨウラクガイとはかなり遠縁であるが、お互いに装飾を競い合っているようで面白い。
波にさらわれても、岩の割れ目に引っかかることで遠くまで流されないように殻の出っ張りを発達させているのだろうけど、どこをどう出っ張らせるかについてはそれぞれの感性で決まったのではないかとすら思える。

どちらも殻高3~5㎝程度の小さな貝であるが、味も見てみたいと思い、持ち帰ってくることにした。

デーハー磯つぶ味比べ

今回はシンプルに、海水程度の濃度の食塩水で塩茹でにしてみることにした。

ヨウラクガイの方は、身がそれほど縮まず、蓋が殻口に見えていたので爪楊枝で簡単に取り出すことができた。

ヨウラクガイ,塩茹で,食べる

身は明るいオレンジ色

(・~・)…
コリコリして美味い!
ほんのり甘みもあって、当たりのイボニシやカコボラと同系統の味だ。
ただ、内臓(中腸腺)が極めて辛い!
イボニシなんかは辛いことで有名だが、もっとケミカルな感じの辛さで、味のアクセントと言うにはちょっとキツすぎるし、身体にもあまりよくなさそうだ。

味:★★★☆☆ 内臓は捨て。
価格:★★☆☆☆

ウラウズガイは身がかなり縮んでしまったようで、蓋が奥深く引っ込んでしまった。
色々と工夫したのだが、すっぽりと殻口に収まってしまっており、外からの攻撃を一切防御してしまう。

大変不本意ながら、ハンマーで殻を割って取り出すことに。

ウラウズガイ,塩茹で,食べる

小さいがサザエっぽい


身は小さいながらサザエと似た感じで、なかなか美味しそうであるが…

(・~・*)…
これも美味しい。というか、ほとんどサザエと一緒だ。
甘みこそヨウラクガイと比べて弱いが、歯応え、磯の香りともしっかりしている。
内臓が美味しいのも良い。

味:★★★☆☆ 
価格:★★☆☆☆

磯つぶは節度を守ってたしなむ程度がオススメ

南仏プロヴァンスの魚料理屋でブイヤベースを頼むと、突出しのような感じで小さな巻き貝が出てくる。
ひとつ2㎝もないほどのごく小さな貝なのだが、一つづつ爪楊枝でくりぬいて、ルイユ(ガーリックマヨネーズ的なもの)につけて食べると本当に美味しく。
また一粒ずつ殻から取り出す手間があるので、メインが出てくるまでのいい暇つぶしにもなった。

磯つぶもそれ単体がメインとなるわけではなく、食卓に彩りを添えるようなものだ。
欲張って採取しすぎて、その磯から消し去ってしまうような愚かな真似だけは決してしないように、お願いしますよ。。

 
 
 
 

コメント

  1. 野生児ミッチー より:

    野生児ミッチーと申します。

    ウラウズガイは、私も美味いと思います。

    笠倉出版社のアウトドア雑誌「Fielder」のvol.23で、ウラウズガイの美味い食べ方を紹介しておりますので、よかったらご笑覧下さい!

    • wacky より:

      はじめまして、コメントありがとうございます。

      先ほどアマゾンから本が届きましたので拝読しました!大変興味深い内容でした。
      磯つぶは美味しいものが多くておススメしたいけど、みんなに取られて無くなっちゃうのは嫌だ…というジレンマにいつも悩まされます。すぐいなくなっちゃいますもんね…

      ヒザラガイはどんどん食べてくださってかまいませんけどね!(笑)

      • 野生児ミッチー より:

        コメントしておきながら忘れていました。すみません…

        そうですね、ジレンマはありますね…(スガイとイシダタミはどこにでも大量にいますが…)

        雑誌のご購入、有難うございます。Fielderの2016年10月号では、無人島キャンプの様子を載せて頂く予定です(その無人島には、来月行きます)。貝は食べませんが、魚突きをしてキャンプする予定です。

        • 野生児ミッチー より:

          茸本朗さんもFielder vol.30に出演しておられましたね!
          同じ号に載れて光栄です‼︎

          • wacky より:

            こちらこそ大変光栄です! まさか同じ号に載れるとは……
            魚突き、僕はカワハギ専(笑)なので、ミッチーさんの技術に素直に憧れています。

  2. 野生児ミッチー より:

    カワハギは、捕りやすいのにウマすぎですよね!

    実はカワハギも捕ったのですが、何故かスカリから外れてロストしたので、今回、雑誌で紹介できませんでした汗

    またどこかでお会いしたいですね!

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