ヤマドリゼンマイはゼンマイの代用品になるか

先日、とある講演会でシダの話を聞いた。

講師の先生曰く、観察会などでシダの話をすると、まず第一に「食べられますか?」と聞かれるという。
とくに「○○ワラビ」という種類は多いので、解説の度に「あ、ワラビの仲間なんですね、なら食べられるんですか?」と聞かれてちょっとうんざりしているそうだ。
(ちなみに○○ワラビと○○シダの違いは見た目によるもので、ワラビと名が付いているからといって、近縁種とはいえないことが多い)

食用シダとヤマドリゼンマイ

さて、そんな「食べられる」というイメージのあるシダ類だが、実際に食用にされているものはそれほど多くない。
代表的なのはゼンマイ、ワラビ、コゴミ(クサソテツ)。
あとは南西諸島などで食べられているオオタニワタリなどが挙げられる。

ただ、実際にはこれ以外の種でも食用にできるものがあり、各地で山菜として珍重されている。
毒がなく、アクの強くないものであればだいたい食べられるのかもしれない。

今回挑戦してみるものは、その中の一つヤマドリゼンマイ

ヤマドリゼンマイ

適度に日の当たる緩斜面に多い


ゼンマイの親戚筋のシダで、ゼンマイに比べると日当たりの良い所に群生し、河川敷などによく生える。
ゼンマイと同様に、葉緑素を持ち光合成を行う栄養葉と、胞子を作るための胞子葉を持つ。
ただ開いた葉はゼンマイとは全く似ておらず、春先の新芽の時期以外はヤマドリゼンマイだと同定するのは難しい。

食べ頃は春、新芽の先にゼンマイのような綿が付いている状態のものだ。

ヤマドリゼンマイ,料理

葉っぱはこの後取ることになります


採るときは葉の根際をつかみ、軽くしごくように折りながら指を上にスライドさせていくと、柔らかい部分だけを折り採ることができる。

ヤマドリゼンマイの下処理はちょっと大変

食べられるシダには
・茹でるだけで食べられるもの(コゴミなど)
・灰汁抜きが必要なもの(ワラビなど)

そして
・干してから戻さないと食べられないもの(ゼンマイ)
がある。
ヤマドリゼンマイは恐らくゼンマイに近い組成をしていると思うので、一度干してから戻して食べることにする。

シダ類のアクは強烈で、採ってから時間がたつとエグ味が強くなってしまうので処理は迅速に行いたい。

採った新芽の綿を取り、たっぷりの水で茹でる。
柔らかくなったら湯から上げ、水気を切り少し冷ます。
触れる温度になったら、しわを付けるように軽く揉んで水分を抜く。
この行程を経ないと、干すときに水分が抜けづらく、また戻しても表面が堅くなって味が染みなくなってしまう。

ただ強く揉みすぎると、茎が裂けてしまうので注意したい。
最初は加減がわからず、水分を絞るようにぎゅっと握ったらぐしゃぐしゃになってしまった。これではせっかくの食感が台無しだ。

こうして下処理をしたゼンマイを、日光に当たるように広げて干す。
乾燥中も時々揉んで、堅い部分が残らないように注意する。

そうしてできたのが

ヤマドリゼンマイ,乾燥

シダ独特のちょっと青っぽい香りがします


これ。
堅く青く縮んでからっからになり、嵩もかなり減る。
この状態になれば一年近くは保つだろう。
ヤマドリゼンマイ,乾燥

ここまで小っちゃくなります

ヤマドリゼンマイを調理する

食べるときはまず戻さなくてはならない。
乾燥ヤマドリゼンマイとたっぷりの水を鍋に入れ、一度沸騰させる。
ざるに取り、水にさらしながらアクと汚れを落とすようによく洗う。

ヤマドリゼンマイ,料理

一回目でこれくらい戻る

その後もう一度水から茹でて、沸騰したらそのまま冷ませば戻しは完了。
戻してからはあまり日持ちしないので、できるだけ早く食べてしまうようにしたい。

今回は、ヤマドリゼンマイの味を確かめたいので簡単な炒め煮にした。
ゼンマイを油で炒めて、醤油とみりんで軽く味付けしただけ。

ヤマドリゼンマイ,料理

照りが美味しそう

いただきまーす。

うん、フツーに美味い
フツーというか、フツーにこれ、ゼンマイだわ。
歯ごたえが素晴らしいし、植物にしてはタンパク質な感じの味がするのもいい。
ちょっと後味にエグ味が残ってるけど、それがまた野生っぽくていいね。

味:★★★☆☆
価格:★★★★☆ ちょっと下処理に手間がかかるので、人件費がね

ネットで調べてみると、「市販のゼンマイの多くはヤマドリゼンマイである」だとか「乾燥ゼンマイのことをヤマドリゼンマイと呼ぶ」だとかみんな好き勝手に書き散らしていてどれが本当かよくわからない。

確実なことはゼンマイとヤマドリゼンマイは別種だということと、全く同じように楽しめるということです。
ちゃんと調べたり体験したりせずに、憶測で物をかくのはやめましょうぜブロガーのみなさん。。

 
 
 
 

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