ツノロウムシでコチニール色素を作ってついでに食べてみた

小学生のころ、駄菓子屋で購入した派手な色のお菓子を見ながら母親が言った。
「人工着色料を摂るとガンになるんだよ!」

そのせいか現在に至るまで、原材料に「赤色104号」なんてかかれている食べ物をみるとつい忌避してしまう。

そんな僕にとってありがたい存在が天然着色料
クチナシや紅花といった天然物から分離されたものなので安全性が高く、食べるときの罪悪感も少ないのだ。

さて、そんな天然着色料の中でもある意味知名度が高いのがコチニール色素

ファイブミニなどの明るい色合いの清涼飲料水にしばしば使われているのだが、この色素、コチニールカイガラムシというカメムシ目の昆虫の一種から造られている。

コチニールカイガラムシは通称エンジムシとも呼ばれ、その名の通り濃赤色の体液をしている。
これを手でかき集め、加熱乾燥などの処理をするとコチニール色素ができあがるのだ。

もちろん昆虫といえども毒成分はなく、極めて安全性の高い色素として世界中で使用されている。
ネットなどではときどき「虫から作った着色料を食べる人たちはバカ」みたいな煽り方をされているが、石油に化学薬品ブチ込んで造る謎の人工着色料なんかよりは遥かに気分がいいと思うんだけどなぁ。
大塚製薬さん、応援してますよ!

他のカイガラムシではどうなの?

 

話は変わって先日、猛烈な西風の中、城ヶ島をさまよいながら釣りのできるポイントを探していると、堤防沿いのマユミの木に白い固まりがいくつかくっついているのを見かけた。

ツノロウムシ

知らないと虫だとは思わない


ツノロウムシはカイガラムシの一種で、他のカメムシ目害虫と同様、植物の汁を吸って生きている。
きわめて広食性のためあらゆる植物に寄生しており、造成地などの植生が少ない場所では、セイタカアワダチソウなどの雑草に寄生しているのも見ることができる。

一見すると誰かが歯磨きガムを木の枝に擦り付けたのかと思うが、れっきとした昆虫だ。

さてこのツノロウムシ、木から剥がしてひっくり返してみると、中心部分が真っ赤になっている。

ツノロウムシ,裏

やっぱり虫には見えない


実はこの白い部分はツノロウムシが分泌したロウ成分で、これによって外敵や農薬から身を守っている。
真っ赤な部分が本体なのだ。

…これ、ひょっとしたらコチニールカイガラムシみたいに色素として使えるんじゃないか?

というわけで、そこにいた数匹のツノロウムシを捕獲し、持ち帰ってみた。

ツノロウムシでコチニール色素を作ってみた

まずはよく観察。

ツノロウムシ,コチニール

何度見てもお菓子か何かにしか見えない


…見れば見るほど昆虫には見えてこない。
人工感あふれるロウの質感はまるで砂糖菓子のようで、赤い部分は角砂糖に食紅を垂らしたときのようだ。

とりあえず、器に入れてレンジで煮沸してみると、

おわっ、溶けた!

ツノロウムシ,コチニール

本体がぷかぷか


まあロウ成分なんだから加熱すれば溶けるのは当たり前なんだけど、心の準備ができてなかったのでかなりびっくりした。
ちなみにこのロウ成分のために引火性が高く、集めて火をつけると実によく燃えるらしい。
野外で燃料に困ったときはやってみよう。

そして器に残った本体。

ツノロウムシ,本体,コチニール

深海の生きものみたい


びよーんとのびた口、木に付着して動かないために退化した短い6本の脚、なかなかコミカルで可愛らしい。

水気を切り、さらにレンチンして水気を飛ばす。
元の色よりかなり赤黒くなってしまったが、一応これでOKとする。

ツノロウムシコチニールは色素として使えるか

この乾燥カイガラムシから、エタノールで色素を抽出すればコチニールの完成ということになる。
うちにある最高純度のエタノール(スピリタスともいう)に浸してみると…

ツノロウムシ,コチニール

量が足りなかった


写真だと分かりにくいが、ファイブミニを10倍に薄めたような薄いオレンジ色になった。
これを再び過熱してエタノールを蒸発させると色素が分離できるのだろうが、今回は量が少なすぎるのでここでおしまいにした。本来はこの後、ファイブミニに入れてアメリカ風色素強化ファイブミニを作ってみたかったのだが
ツノロウムシが一度に1キロくらい採れたらやってみてもいいかもしれない。

ツノロウムシを食べてみた

さて、無事色素も取れたので、今度は安全性を確認してみなくてはならない。

というわけで…

ツノロウムシ,コチニール,食べる

いただきマース

…(・~・)
味しねぇ。

無味だが、植物系で、さわやかで青臭くはない感じの匂いがする。
これはきっと宿主であるマユミの香りだろう。
「昆虫は食べている物の味がする」というのが僕の考えだが、カイガラムシにもきっと通用するはずだ。

味:★なし
価格:★なし

ということは逆に、もし毒性のある木に寄生しているツノロウムシでコチニールを造ったら毒があるかもしれない。
また毒が無くても、セイタカアワダチソウに寄生している個体で造ったら強烈な青臭さを放つのだろうか。

いずれにしても、十分な植物の知識がない人は採るのをやめたほうが良いかもしれません。
まあそれはツノロウムシに限らず、すべての広食性の昆虫でそうだと思うけどね。

 
 
 
 

コメント

  1. こうたまま より:

    ファイブミニ騒動を調べていて来ました。
    アットニフティのあのサイトばりに面白いしわかりやすくてぽちっとブックマークです。

    やはりマユミは有毒植物ですよというオチでしょうか!!

    • wacky より:

      ありがとうございます!週5更新を目標にぬるぬるとやっております。(達成率8割)

      コチニールを使っている食品なんて星の数ほどあると思うんですけど、やり玉に挙がるのはいつもファイブミニですよねぇ…ちょっと気の毒です。
      そこのおしゃれなお姉さん、あなたが頼んだそのカンパリオレンジ、カイガラムシ入ってますよ!

      幸いにしてマユミの毒は僕には効かなかったようです。ときどきドクウツギについてるのを見ますが…それは止めとこうかな。。

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