北海道のいと…②幻の天然「イトウ」を食べた

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イトヨを食べた翌日、友人から連絡があった。
メッセージを開いてみると、「イトウの半身いる?」とのこと。
イトウ,天然
詳しく聞いてみると、北海道に遠征釣行をしていた際に同行者にイトウが掛かったそうなのだが、掛かりどころが悪くショック死させてしまったそうだ。
供養のためにも食べてやろうということで引き取ったのだが、大きすぎて持て余し、送ってくれることになったのだという。

本人たちは当然ながらリリースするつもりでいたため、今回のことも「事故だった」と残念がっているが、結果として僕の元に幻の天然イトウが届くことになったのだから、偶然に感謝しなくてはならない。

日本最大の淡水魚・イトウ

イトウは日本に棲むサケ科淡水魚のなかでは最大種で、1.5mほどになる。
かつては北日本に生息していたが現在では北海道の北部にしか居らず、幻の魚と呼ばれている。

性質は獰猛で悪食、魚や小動物、時には鳥やネズミも食べる。
アイヌの伝承では小鹿を飲み込んだという話もあるが、かつて存在していた2m級のイトウなら有りうる話かもしれない。

サケ、マスの仲間と言うことで昔から食用にされてきたが、上記の通り現在はかなり生息数を減らしており、食用にされているものはほぼ全てが養殖と考えて良い。
僕も養殖のイトウは食べたことがあるが、正直な感想を言えば「個性のない」味で、アメマスと同様の味わいだった。

これならヤマメの方がいくぶん上だなと思った記憶がある。

しかし今回は正真正銘天然もの、しかも大きさも85cmほどと十分だ。
楽しみに待つ旨を友人に伝え、届くのを待った。

天然ものは個性が強い

果たして翌々日、冷凍にされた天然イトウが我が家に届いた。
「食べきれないから残った分送るよ」とのことで、8分の1サク位のものが届くと思っていたら、なんと4分の3も送ってくれた。
天然,イトウ,料理
有り難すぎるがちょっと多すぎるので、4分の1はせつなさんにお分けして、半身を料理して食べてみることにした。

身はサケの仲間らしくヌメリが非常に多いが、新鮮なうちはあまり不快な匂いではない。
開いたらすぐにヌメリをとってしまうのが良いかもしれない。

背身と腹身に切り分け、肉質を見る。
天然,イトウ,料理
マスに多いやや淡目のオレンジ色で、サケと比べるとやや柔らかいようだ。

皮が非常に丈夫で切り分けづらい。
アイヌはこの丈夫な皮をなめして防寒具に使ったという。

背身の方は脂は乗っていないようだ。
凍っている部分を薄くスライスし、ルイベ風に食べてみる。

…(・~・´)
うん、やっぱり独特な感じだ。
全体にキュウリやスイカのような爽やかな香りがあって心地よい。
友人は「刺身がビンナガマグロみたい」と言っていたが、確かに色味と柔らかさはやや似ている。
逆に言えばあまりサケっぽくない
かといってマスっぽいかというと…

続いて腹身を調理する。
サケ科の魚を味わうなら何はなくとも塩焼き、そしてムニエル
コレは外せない。
天然,イトウ,塩焼き
天然,イトウ,ムニエル
二つに切り分けた片方に下味をつけて小麦粉をはたき、
フライパンで一枚ずつ焼いていく。

天然,イトウ,塩焼き
塩焼きと、
天然,イトウ,ムニエル
ムニエル
それぞれ完成。
どちらも焼いているうちに脂が出てきて表面がサクサククリスピーに。

食べてみると…
天然,イトウ,料理
(*・~・*)
なるほどねー。
どちらも割とイケる。
脂がいっぱい出てきたので脂っこいのかと思いきや、身と脂肪のバランスがちょうどよく、またゼラチン質多めでぷりぷりしている。
ただ、ここでもやっぱりサケなのかマスなのかはっきりしない印象。

面白いのは血合い骨。
天然,イトウ,骨
天然,イトウ,骨
一見太くて丈夫だが、軟骨質でコリコリしている。
ふかひれみたいで美味しい。

味:★★★★☆
価格:★★★★☆

残った背身はチャンチャン焼きにしようかと思ったが、脂肪分が少なくてパサつきそうだったので、
オリーブオイルでローストしてからトマトで煮て、マフィンに挟んで食べてみた。
天然,イトウ,バーガー
幻のイトウバーガーである。

…(゜~゜*)
うん、美味い。
何も知らないで食べたらサケかと思うかもしれないが、身のほぐれ方がダイナミックで、個性があるのでトマトとオリーブオイルに負けていない。

味:★★★★☆
価格:★★★★☆

いつか、大物天然イトウが好きなだけ食べられる日が来るといいなぁ

やはり天然ものというのもあって個性的な味だった。
キングサーモンなどは大きければ大きいほど美味しくなるが、もしかするとイトウも1mオーバーはより美味しいのかもしれない。

とはいえ、希少な魚で捕獲難易度も非常に高いことを考えるとバランスは取れていないなぁ、というのが本音。
このまま数が減れば、漁獲の全面禁止や釣りを含めた完全禁漁なども近い未来の話になってしまう。
その危険を冒して、元気なものをキープしてまで食べるべき魚ではない、とは思う。

いつか、小鹿を飲み込むような怪物イトウをステーキにして食べてみたい。
その為にできることを、日々考えていきたいと思う。

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コメント

  1. duo より:

    こんにちは。
    イトウ、私もいろいろ作って食べてみましたが、
    たまたま入っていた筋子を醤油漬けにしたのが一番美味でした。

    >いつか、大物天然イトウが好きなだけ食べられる日が来るといいなぁ

    本当にそうですね。
    人間の都合で自然がどんどん変わる昨今、
    地球、大丈夫?と不安になります。
    有明海なんかもそろそろ口にできない魚介類が出て来るのではないでしょうか?

  2. より:

    写真がこの記事のイトウなら
    これは稚魚を放流した奴だね
    放流されてる稚魚は決まった所から取られた個体から卵や精子を採取するから
    斑紋やヒレの形が偏って特徴が出て来るから見分けられる様になる

    まぁ今は支流事に遺伝的違いが見つかって,
    自然産卵で繁殖されてる所は寳龍しないように決められたんだけど
    一時期、それこそブラックバスのように無差別に放流されたから、幻でも無いくらい数は居るんだけども。

    スマホから投稿なもので改行など読み辛くかも

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