レタスの原種(近縁種)と春告茸

ここ数年慢性的胃炎に苦しめられている。
胃薬で抑えているが、ずっと医者に通い続けることを考えると頭が痛い。

そんなわけで、胃によい食材には目がない。
「健胃作用」なんて書いてあるとついつい手を出してしまう。
カレーを作るときも大正漢方胃腸薬を入れるほどだ。

さて先日、新宿の某沖縄料理店で健胃作用バリバリのものを食べた。
苦菜(ンジャナ)である。生の葉の千切りが白和えで出てきた。
沖縄風の甘めの味付けであるにもかかわらず強烈に苦く、しかしそれが疲れ切った胃に心地よかった。
これのおかげでラフテーやソーキそばも食べきることが出来た。

帰ってから検索してみると、苦菜の正式和名は「ホソバワダン」といい、南方系のキク科の植物で、南日本では海岸沿いに自生するのを見かけることが出来るそうだ。
確かにキク科の植物には苦味があるものが多い。
なじみのあるものではレタスやチコリ。西洋では食用にされるタンポポも、日本産のものはどうにも苦味が強烈だ。
これらはポリフェノールに由来するらしく、その点からも体によさそうな雰囲気がプンプンする。

さて、そんなレタスの原種(の一種)に大変近い種類が、筆者の住むような都会でもとてもよくみられるのをご存じだろうか。
ノゲシ」である。
ノゲシ(材料)

写真のように日向によく生え、春先に小さなタンポポのような花をたくさんつける。
日本中に生え、見たことのない人はいないのではないかと思えるほどだ。
これも実は沖縄・宮古島地方ではかつて野菜として食べていたという。「マーオーファ」と呼ばれ、「真の野菜」といった意味があると考えられているそうだ。

このサイトの趣旨としては、当然食べてみなくてはならない。
レタスは美味しいけど正直高いし、これで美味しかったら丸儲けである。
何せ川崎市内にある筆者宅から徒歩30秒のところにも生えているのだ。(その個体は食べたくないけれど)
来る直下地震の際にもビタミン元として大いに役立ってくれるはずだ。

そうなると、どこで採取するのかが問題となってくる。できるだけ綺麗なところがいいが、どちらかというと山間よりは平地や空き地に生えているような植物なので、そうなると川崎・横浜では少し限られてくる。
幸いいい天気だったのと、もう一つこの時期に採っておきたいものがあったので、サイクルウェアを来て愛車にまたがり、30キロほどの道のりを吹っ飛ばすことにした。

本題とは関係ないが、今回のメイン経路となった中原街道
ロードバイクで行く中原街道
佐江戸周辺や武蔵小杉など一部狭い区間もあるが、基本的には走りやすいいい道だ。アップダウンも多いので良いトレーニングになる。

右折してR16へ。この道を選んだ理由はずばり
ロードバイクで行くサクラ満開の海軍道路
海軍道路の桜並木を見るためだ。
近くに駅はないが、車で行くとこの通り大渋滞で進めないので自転車が一番良い。

閑話休題。

行きつけの某自然公園に到着した。柵に自転車を止めて靴を履き替え、散策を開始する。
最初に出迎えてくれたのは、筆者の大好物・ウコギ
横浜ウコギ

品種としてはヒメウコギだろうか。ウドやタラノメと同じ香りがするのがうれしい。
今回は他の目当てがあるので採集は見送った。時期が少し遅れても食べられるからというのも理由のひとつ。

続けてこのサイトの初代ヘッダー画像となったニリンソウ
神奈川ニリンソウ
筆者の知る限り一か所だけこれの群生地が存在する。
必ず片方の花が咲ききってからもう片方も伸長するようだ。
この画像だとイチリンソウとの区別がつかない。

最初の目当ては春告げキノコ
この公園では例年立派な
神奈川アミガサタケ

こいつらがいっぱい出る場所がある。
ピンボケで申し訳ないが
神奈川アミガサタケ

最大サイズは筆者の拳より大きかった。
この子たちをとって食べないと春を感じない。

イチョウの樹下で腐植層の多いところなので、基準種ではなくトガリアミガサタケだと思われるが、正直味の違いを感じないので明確に区別していない。
シャグマアミガサタケでなければ当面問題はないだろう。(これもいつか食べてみたいのだが)
今年はまだ走りなのか数が少ない。大型のを6個ほど取って終了。

続けて本日のメインテーマとなるノゲシ。
貯水池沿いの日向に、他の雑草と混ざって群生している。

あまりにありふれた雑草過ぎて、採取しながら不安な気持ちになってくる。
途中花見客のお兄さんに声をかけられたが、「これレタスの仲間なんですよぉ」というと「あぁ、この人はご飯が満足に食べられないのね…」といった目で見られた。凹む

帰りは246号バイパスを使って帰宅。
アミガサタケは半割にして湯通しし、水洗いをして下ごしらえをする。
この方法だと貴重な出汁が抜けてしまうような気がして、抵抗がある人もいるかもしれない。しかし筆者は以下のような理由から、現在ではこのように処置をしている。
アミガサタケ熱湯処理

1.可食種のアミガサタケにも、比較的毒性の強い揮発性の毒が含まれており、水洗いだけでは不安である(沸点が低く、加熱で無くなる)
2.中空のため虫が入りやすく、水洗いでは落ちずに料理に混ざりやすい
3.生のままではもろく取り扱いがしにくいためしっかり洗うことが出来ない
4.この処置をしても味、香り共にさほど逃げない(ように感じる)

ちなみに今回下ごしらえをしていたら5㎝ほどのムカデが出てきた。
即座に熱湯風呂に入っていただいたが、我が家に侵入した初のムカデだと思われる。
アミガサタケは、「隠れ家に潜みながら餌の小昆虫を待ち伏せできる」という点で、彼らにとって非常に理想的な場所なのかもしれない。
いずれにせよ、咬まれなくて本当に良かった。

下ごしらえが終わったアミガサタケは、ジップロックに入れて冷凍した。
クリームたっぷりのキッシュやパスタにすると抜群においしいのだ。
今年は発生が遅れているので今月いっぱいは採れるだろう。次にとれたものは乾燥保存してもいい。
ちなみに乾燥すると歯ごたえはなくなるが香りが強くなる。

さて、いよいよ本題のノゲシである。

比較対象として、冒頭の苦菜を銀座の某沖縄食材店にて購入してきた。
公平を期すため、どちらも生食、茹での2種類で食してみる。
料理方法は油いためと白和えにしてみた。なぜならそれ以外に苦菜のおいしい食べ方が思いつかなかったからだ。

左が苦菜、右がノゲシである。
苦菜とノゲシ

切り口からはキク科特有の白い乳液が染み出す。
レタスの和名「チシャ」も「乳菜」から来たという説があるらしい。
苦菜断面
まずは白和え。
苦菜、ノゲシ共によく洗い、2㎜幅に切って軽く冷水にとる。
水気をよく切っておく。

木綿豆腐をつぶし、多めの砂糖とみそ、そしてピーナッツバター(!)を入れる。
ここで甘くしておくと南国っぽさが強くなる。

水を切っておいた葉とよく合える。

完成!!
いざ実食!

…苦い。
特に苦菜は相当苦い。

けどおいしい。

子供に食べさせたら間違いなくガン泣きだけど、疲れ切った大人にはとてもいい。
そして意外なことにノゲシのほうが苦味も青臭さもまろやかで食べやすい。
苦菜はゴーヤの強化版といった風情で食べる人を選ぶかもしれないが、ノゲシは黙って出せば普通の野菜だと思われるだろう。
軽く湯通ししてやれば青臭さもなくなってもっといいかもしれない。

いいじゃんノゲシ。おいしいじゃん。
近縁のアザミと比べると葉の厚さはないので天ぷらなどには向かないかもしれないが、お浸しにも胡麻和えにも合いそうだ。
レタスみたいに鍋にするのもよいかもしれない。なんてったって原種ですし。

さて、続けて加熱調理にも挑戦してみる。

山菜と相性がいいごま油であためて、シンプルに塩コショウで味付け。
いざ実食!!

にげぇええええええええぇぇぇぇぇぇぇ(TЖT)

加熱によって濃縮されたのか、ごま油のおいしそうな香りも全く歯が立たないほど抜群に苦い。健胃とかいうレベルではない。
苦菜、ノゲシともに口がもげそうな苦さである。
昔脳外科で処方してもらった頭痛薬と同じ苦さとえぐみだ。

沖縄の人には悪いが、前情報なく食べたら確実に毒を盛られたと思うレベルの味だ。
どうやら炒め物は食べる人を選ぶ調理法のようである。

ということで今回のまとめ

・ノゲシは美味しい。

・苦菜は覚悟が必要。

・どちらも健胃作用はなかなかありそう(この後かなり食欲が出た)

・アミガサタケはトロイの木馬

なお、ノゲシの仲間のアキノノゲシは中国大陸、沖縄で野菜になっており市場価値もそこそことのこと(山クラゲなんかが近い種類らしい)
ぜひ採取して食べ比べてみたい。

評価

ノゲシ:★★★★★★☆☆☆☆ 150円/束

苦菜:★★★★★☆☆☆☆☆(胃が悪い時は+★2つ) 105円/束にて購入

アミガサタケ:★★★★★★★★☆☆ 100円/個 (麻布ナショナルマーケットで20個4000円くらい)

備考:★の数は味、採りやすさ、コストパフォーマンスで決めています。
価格は種類、味わいが近いもの、スーパーマーケットにおける価格から、「これくらいならお店に売られてても買っていいぜ」という金額を独断で決定しています。その際参考にしたものを後ろに記載しています。

 
 
 
 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA