生“チリメンモンスター”を観察して味見してみた

冬になるとやりたくなるのが駿河湾のタチウオ釣り。
魚探とにらめっこしながら100m近い深場まで探る東京湾のタチウオ釣りと異なり、港から15分ほどの沖合(といっても水深70mほどはあるが)に船を掛け、水中に入れた集魚灯でタチウオを寄せて釣る優雅な遊びだ。

この集魚灯だが、ネオンに群がる大人のごとく、灯りにタチウオがふらふら寄ってくると言うわけではない。
まず光にプランクトンが寄り、それにシラスのような小魚が寄り、さらにそれを狙うイカが寄り、そしてそれを食べようとタチウオが寄ってくる、食物連鎖の一例が展開されているのだ。

チリメンモンスター,生シラス,戸田

掬いたての生シラス

そして船宿によっては、釣りの合間にこのシラスを掬わせてくれるところがある。
穫れたての生シラスの味は絶品で、タチウオが釣れなかった場合にもそれなりにうれしいお土産になる。
昨年の冬に釣りに行ったときも、荒れた海況の中でも大量のシラスが集魚灯に寄り、シラス掬いを楽しむことができた(タチウオはちっとも釣れなかったが)

 

チリメンモンスターとは

持ち帰り、すぐに生シラス丼を楽しむことにしたのだが、よく見るとその中には、明らかにシラス(=イワシの仔)ではない魚が大量に混ざっていた。
サイズ的にはほとんど同じなので、一つの群の中に混ざっていても自然と言えば自然なのだが、一匹ずつ取り出してみるとなかなか興味深い観察ができる。
最近のシラス干しやチリメンジャコは、生産の過程でイワシ以外の稚魚や魚以外の生物については排除していると言う。
また逆に、そういった雑魚や小動物を排除せずにパッケージングされたものは「チリモン(チリメンモンスター)」と呼ばれて生物の授業の教材に用いられているという。

今回はせっかく生の状態で手に入ったので、生チリメンモンスターをじっくりみて、ついでに味の違いを見てみたいと思う。

生チリメンモンスターを食べる

今回のシラスのメインサイズは3~4cm、通常市販されるものと比べるとかなり大きい。
ここまで成長すると、内臓の苦みが出て少し食べづらくなるが、プチプチとした食感がよりはっきりと感じられて自分はこちらの方が好みだ。
シラスのサイズも大きいので、チリモン達もなかなかの存在感がある。



今回一番多かったのがこれ

ギンカガミ稚魚?

左右に著しく扁平

友人は「…マンボウ?」と言っていたが、マンボウは稚魚の時は首領パッチ金平糖みたいな尖った外見をしているのでおそらく違うだろう(尾びれあるし)
大きさもさることながら特筆すべきは極端に扁平したその体型。
水中でもよく目立ち、俊敏に泳ぎ回っていたが網にもよく入った。
背の青い魚の特長が見られることなどから、黒潮の珍魚「ギンカガミ」ではないかと思うのだがいかがだろうか。希少な魚だという点がいまいち引っ掛かるが…

→2015.3.1追記 
コメント欄にて「シマガツオの幼魚ではないでしょうか?」という指摘を頂き、確認したところどうもそれっぽいので訂正します。飛び出る下あご、細長い胸鰭など特徴も当てはまる。

→2016.7.1さらに追記
コメント欄で新たに情報をいただき確認したところ、どうも「タカノハダイ属の幼魚」ということで確定できそうです。ありがとうございます!

味はぱりぱりとした歯ごたえに加え、内臓が大きいようで苦みがやや強い。
シラスの中で格別の存在感を放っている。
これだけを大量に集めるわけにはいかないが、たくさんあればスクガラスのような加工品に向いているかもしれない。



次いでこの子

モジャコ,ブリ稚魚?

いわゆるモジャコ


先ほどとは逆に特徴が少なくてさっぱりわからない。
後半身にゼイゴ状のものが見えるのでアジ科だと思われる。自分はブリに一票。

やや身が柔らかく、歯ごたえにかけるが上品な味わい。
シラスに混ざっていても違和感は特にない。



さらにこれ

アジ稚魚?

チリメンでよく見るよね

アジの稚魚ではないだろうか。チリメンジャコでもよくみられる。
味はシラスとほぼ一緒で、混ざっていても違和感全くなし。



そしてこれ

チリメンモンスター,ゾエア

ソエア幼生

おなじみゾエア幼生。これもチリメンでよく見る。
味は…小さすぎてわからんなぁ。。



そんでもってこれ

チリメンモンスター,ウオノエ?

わしゃわしゃ動くよ!

おそらくはウオノエ系のモンスターかと思われる。
浮遊生活をしているようだが、これから宿主を見つけて取り付くのかもしれない。 指の上でもワサワサはい回っている。

もちろん食べるよ
味は…あんまりしないww
でも外骨格がぱりぱりしています。ゾエア幼生とかと何ら変わりないと思う。



更にこれ

チリメンモンスター,ゴカイ

ぬるぬる動くよ!

ゴカイ…だろうなぁ。
ゴカイの遊泳と言えばバチ抜けが有名だが、水中ライトに集まってくる彼らは果たして産卵行動なのだろうか。

一応食べたけどほとんど味はありませんでした。
まあ毒はなさそうだし、チリメンに混ざってても気にしないでいいと思うよ!
その他、大量のトウゴロウイワシが集まっていたので網ですくってぼりぼり食べてました。身の味はいいんだけど鱗が固いね…



こうやって観察してみると、いわゆるモンスターはかなりの割合でシラスの中に混在しているようだ。
ゴカイや甲殻系はともかく、味が大きく変わるものではないのに、他種の稚魚まで排除しようとするのは時間と資源の無駄遣いのような気がしてならない。
あまり神経質にならずに、なんでも美味しくいただいてやろうという気概が大切だと思うよ。

 
 
 

コメント

  1. taku より:

    楽しく読ませていただきました。
    ギンカガミですが、ちりめんじゃこにも僅かながら混じることはあるようですが、僕個人的にはシマガツオの稚魚ではないかなと推測いたしました。
    種類にも寄りますが、成魚はおでこがずんぐりとしているのですが、幼魚はその特徴は顕著には現れず、まさに写真のような形です。
    確証はありませんが、、(^_^;)
    何にしてもとても面白いBlogに出会え良かったです!
    突然、失礼致しました。

    • wacky より:

      takuさま

      コメントありがとうございます!
      確かに、飛び出る下あご、細長い胸鰭など、シマガツオの特徴が当てはまりますね!
      文献でも幼魚の時は表層にいるとありますし、シマガツオで正しそうです。
      貴重な情報をありがとうございます!

  2. キウム より:

    いつも楽しく読ませていただいております。

    ギンカガミ→シマガツオとされている魚ですが、タカノハダイの稚魚だと思います。
    ブリとされている魚はヒメジ科っぽいと思います。両種とも稚魚期は表層にいて銀色のため成魚と大分違う形、色をしています 。

  3. くわ より:

    私も(web検索したら)タカノハダイ属の幼魚の画像とそっくりでした。

  4. wacky より:

    た、確かに!どうやらタカノハダイの幼魚で良さそうですね。。
    ありがとうございます!再訂正しますね!

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