水酸化ナトリウムを使わずにルーテフィスクを作れないものか

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「野食のススメ」第10回の記事が公開されました!(2017.4.1)
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皆様お待ちかね(待っているとは言っていない)、ルーテフィスク三部作の最終章でございます。
テーマはタイトルの通り「水酸化ナトリウム(NaOH)を使わずに魚をゼリー状にして食べることはできないものか」というもの。


「一般家庭に苛性ソーダがほとんど置かれていない我が国で、ルーテフィスク文化を広める」という重大な使命を帯びた当ブログにおいて、この挑戦を回避するわけにはいかない。
コメ欄でも煽られたしね!

というわけでさっそく重曹を……と思ったが、なんとこのタイミングで重曹を切らしているのに気づく。
そういえばこないだワラビのあく抜きに浸かってしまったんだった……

うーんどうしよう、延期しようかな。
でもワイ将スーパー飽き性、今日やらないことはいつまでもやらないマンだからな……どうすべか……

……オッ

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石灰水でルーテフィスク作れないかな

目についたのは、前にコンニャクを自作した時に利用した水酸化カルシウム(CaOH2、消石灰)の粉末。
これ塩基じゃんか。しかも食品にバンバン使っていいやつ。
コンニャク作りでは、こんにゃく芋に含まれるアク(シュウ酸その他)を中和させる必要がある。
その際に、安全性が高くて少量で強いアルカリ性を得られるCaOH2水溶液(いわゆる石灰水)を利用するのだ。

魚をゼリー状にするのに、イモをこんにゃくにする液体を利用するのはなんだか、理にかなってんじゃね?(文系特有の妄想)


というわけでやっていきましょう。
まずは水にCaOH2をスプーン1杯入れて溶かし、飽和石灰水を作る。


ここに前回も使用したウツボの干物(水で戻したもの)を入れて

NaOHと同様に3日漬けるのだが

左はNaOH ver.


……あれ、ゼリー状になってない……?


疑念はありつつも、同様に3日水にさらす。

これでいいのかな……

触ってみると、表面は干物状態とあまり変化がないように見えるが内部はぷるぷるになっていた。
でも、ゼリー状とは何か違うような……



これをフライパンに入れて蒸し焼きにする。


また溶けてしまうんじゃないかと身構えたが、水分が出て全体として縮んでいくものの、溶けて行ってしまう様子はない。
ただ、火の通り具合が分からず、どれくらい蒸せばいいのかわからない。

そこで、20分くらい蒸したところで取りだし、さらにオーブンでローストしてみることにした。

焼きあがったら取り出して、ディルと溶かしバターをまぶせば

ウツボのルーテフィスク(CaOH2 ver.)完成!

頂いてみましょう。
箸で割いてみると


うわっやっぱり皮がでゅるっでゅる。
これは食欲削がれますわ……
やっぱり臭みが出てるし。

ウツボの皮は塩基で変質させると溶けて臭みを発する性質があるっぽい。
皮は引っぺがしてから漬けたほうがいいという確信が得られる。

で、身の方はというと

半透明にはなっているんだけど、ゼリー状ではない。
ウツボのいつもの強靭さが全く失われていて、シログチを焼いた時みたいに柔らかくほぐれる。
味は例によってあまりなく、溶かしバターがないと美味しくない。

表面の焼き締められた部分は、溶け出たゼラチン質がいい感じに焦げて、カリカリとクリスピーになっている。
例えるならば、ローストしたスペアリブの骨の表面についてる皮をぺりっとはいで食べるときの快感に近い。


全体としては何とも言えない仕上がり。
同じ手間をかけるならNaOHでやったほうがいいんじゃないでしょうかねやっぱり。

味:★★☆☆☆
価格:★★☆☆☆


ワイ本当に化学が苦手だったんで、アルカリ度の強さとか生体への影響力とか全然わからないんですけど、やっぱりルーテフィスクはNaOHでやることに意味があるんじゃないでしょうかねぇ。
じゃないとわざわざ劇物なんか使わないでしょ?
あのゼリー状でありながらパラりとほぐれる食感を生み出せないと、わざわざこんな調理法やる意味ないしねぇ。。。

だれか気になる方がいればぜひ炭酸カルシウムでも作ってみてください。
僕はもういいかなw廃棄も譲渡もできないNaOHがまだ我が家に大量にあるんや……

なお、ルーテフィスク以外のNaOH利用法については随時募集しております。(石鹸作りと掃除利用以外で)

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魚介その1(魚系) ウツボ
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コメント

  1. 魚好き より:

    ピータンの材料らしいですよ。

  2. えむっち より:

    どうしてもウツボなんですねw
    難しそうですが、薬品抜きの工程で、出汁やスープ的なもので味付けをしたら
    案外美味しいものが錬成されることもあるのかもなんて感じました。

    余った苛性ソーダ、そう仰らずぜひ排水口クリーニングや廃油石鹸にお使いになられてはと。料理ですべて消費するのは相当の無理筋なんでは・・・(笑)

    • wacky より:

      それは間違いないですねw でもそういった使い方はもう知ってるので、なにかこう……新しいアイディアやヒントを頂けるかなぁと(^_^;)

  3. わし より:

    はじめまして。
    オリーブの渋抜きには苛性ソーダ使うらしいですよ。
    トチの実とかドングリとかにも使えるかもしれませんね。

  4. ゲラニル より:

    水酸化ナトリウムですが、果物の薄皮をむくときに使われてますね。缶詰の果物はだいたいこれで処理されてるはずです。
    果物の薄皮を剥きたくなった時に使ってみてはいかがでしょうか?笑

    • wacky より:

      薄皮むきのために危険を冒すのってすごいと思いますわ……(他人のこと言えないマン)

  5. 山林坊 より:

    重箱の隅のツッコミですが、一発目のNaCHはNaOHの間違いですよね?
    (小さなフォントだと見分けつきにくいですが)
    あとは合ってるので単なるミスでしょうけど。

  6. 西洋呑み屋 より:

    おや?煽ったつもりは、まったく無かったのですが。w

    失敗の原因は、ナトリウムとカリウムの差!?(ヾノ・∀・`)ナイナイ

    水酸化ナトリウムを使う料理は、某国大統領が喉に詰めて死にかけた、ドイツ名物の堅焼きパンのプレッツェル位しか思い出せません。w塗りまくって、焼きまくってくださいね❤

    • wacky より:

      ブッシュJr.がのどに詰めたのはプレッツェルパンではなく、プレッツェルスナックですぜ(ドヤ顔)
      でもうちでもやってみたいですね、パン生地が余ったらやってみようかなぁ……

  7. na より:

    食用ではないので、趣旨から外れるかもしれませんが、
    水酸化ナトリウムの用途として、中学の実験で、葉脈標本を作る際に用いました。
    ヒイラギとか厚手の葉っぱで作った記憶があります。

    • wacky より:

      僕もそれ、実験でやったことあります。。怖い薬品だなぁ、今後一生触れることはないだろうなぁ……ってその時思いましたww

  8. ふくつう より:

    はじめまして。私は鹿児島にすんでいますが、今の時期は郷土料理のあくまきに使うためにスーパーで灰汁が売られています。ルーテフィスク作りの参考になればと思いましてコメントさせていただきましたm(_ _)m

    • wacky より:

      あくまき、僕も好きです! でもあくまきをNaOHで作ったらどうなるんだろう……

  9. ジョン より:

    水酸化ナトリウムでラムネは作れるんでしょうか

    • wacky より:

      重曹の代わりに、ってことですか……? それは危険すぎて口には入れられないでしょうね……

  10. G.W より:

    その昔、かん水の代わりに使われたとか何とか
    ものが無い時代の代用品かとは思いますが昔にテレビで見た記憶が

    • wacky より:

      かん水の代わりに……なるんですか?(`・ω・´)いったいどういう理屈なんでしょう……気になりますね

  11. 蛇口からサンポール より:

    はじめまして。最近このブログを見つけて暇な時に読んでます。すごく面白いですね。

    NaOHとCa(OH)2で結果が変わってしまった理由についてなのですが、pHが関係しているのではないでしょうか。
    NaOHの場合は非常に水に溶けやすいためにpHが高く(13に近いもの)なってしまうのですが、Ca(OH)2の場合ではあまり水に溶けないのでpHが12辺りまでにしかなりません。
    拙い説明で分かりにくかったらすみません。

    あと、飽和Ca(OH)2水溶液のことを石灰水と呼ぶので、飽和石灰水というのは正しくないみたいです。

  12. より:

    皮蛋の作り方で知られてるかも知れませんが、消石灰と炭酸ナトリウム(セスキ。炭酸水素ナトリウムを加熱して生成できる)を混合する事で水酸化ナトリウムを生成できます。

  13. KOH より:

    CaOH2だと間違ってますよ。
    Ca(OH)2ですよ。
    NaOHはオリーブのアク抜きに使えます。
    新鮮なオリーブの塩漬け、めっちゃおいしいですよ。
    長島スパーランド隣のホテルに一泊してこっそり…以下略。
    シーズンは秋です。

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