“赤身のアジ”オニヒラアジを食べてみた

赤身魚と白身魚、という言葉は知名度の割には仕分けがあやふやで、幼いころ寿司屋で何度も「この魚は赤身? 白身?」と父親に尋ねたものだ。
見た目の色ではなく、科学的な定義があると知ったのは大人になってからだった。


「定義なんて大袈裟な、要は色でしょ?」という人も多いんじゃないかと思うけど、実際は筋肉内の色素タンパク質ヘモグロビン、ミオグロビンの含有量の多寡、というかっちりとした定義がある。

長距離を泳ぎ、基本的に止まることのない魚は、色素タンパク質を多く含む持久筋(遅筋)主体で赤い身を持つ。
サバ科の魚が多い。
一方でゆったり泳いだり止まったりしている時間が長く、餌をとる時など瞬発的に激しく動く魚は、相対的に持久筋が少なく速筋が発達し白い身となる。

カレイ目の魚は代表的白身

カレイ目の魚は代表的白身


これはこれで言わんとすることは分かるが、サーモンピンクのサケ・マスが白身魚に含まれ、ピンク~部位によってはきれいな純白となるビンナガマグロが赤身に含まれるというのは、実際に口に入れる我々の視点レベルから言えば納得しがたい。
マナガツオも定義上は赤身になるんだろうなきっと

マナガツオも定義上は赤身になるんだろうなきっと




さて、これらの区分とは別の次元に「青魚」というジャンルが存在する。
これは分類学上の概念ではなく見た目的なものにすぎないが、青魚には「独特のミルキーな風味があり、脂がのり、旨味が強い」というイメージがあるし、上記のような「イメージと乖離した定義」とは一線を画す区分だと思っている。
筋肉の組成的には赤身魚に含まれるようだが、サバ、イワシはそうだとしても、アジも赤身だと言われると、どうにもしっくりこない。

 

真っ赤な身をしたアジ「オニヒラアジ」

さて、ここまでだらだらと書いてきたのは、今回豊栄便に入っていた魚が、いろいろな形でちょっと上記の区分からはみ出る存在だったからだ。

それがこの魚
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オニヒラアジである。
オニと付いていながらヒラアジ類の中では中程度の大きさで、小さいころは他のヒラアジの幼魚と混泳し、各地で「メッキ」と呼ばれて釣りの対象になっている。

いやまあ十分デカいけどね

いやまあ十分デカいけどね


多種と見た目のうえでは区別が付きづらく、しばしばYahoo知恵袋などで「これはギンガメアジ? それともオニヒラアジ?」といった質問が上がっている。


大きくなっても外見上は他のヒラアジと大きくは変わらないが……切り身にしてみると、この通り
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真っ赤なのだ。
翔さんから「珍しい赤身のアジですよ」とは聞いていたのだが、実際に見るとぎょっとする。

アジ科の魚だと、他にツムブリも多少赤みが強かったが、それでもここまでではなかった。
血合いが赤いだけではなく、普通の身も全体的に赤いのだ。


これはひょっとすると、味もツムブリ系統なのでは……? と、低かった期待値がむくむくと上昇していく。

ヒラアジ類は主として南海に産する大型のアジ科の魚で、フィッシュイーターとして釣り人からの人気が高いが、暖海産のものが多いせいか青物の魅力である「良質の脂」に欠け、パサつくので関東方面では食用としての人気はない。(シマアジは一般的にはヒラアジに含まない)
今回の豊栄便を開けてヒラアジが出てきたときは「捌く楽しみがメインで、味はそこまで期待できないだろうな」と思ったのだが、ここにきてワクワクが増してきたのだ。

オニヒラアジを食べてみた

腹骨をすいてサクにとり、少しでも脂の多そうな腹身の部分を刺身にしてみた。

いただきマース
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……(・~・)
……うん、そうね、やっぱり他のヒラアジと比べると旨味が強く、味にコクがあり、さらに赤身特有の軽い酸味が味に締まりを与えているので美味しい。
美味しいけど、ヒラアジの中では、という注が付く。
マアジと比べると見劣りがするし、シマアジやツムブリとは比べるべくもない。

カルパッチョにすると美味いね。
でもカルパッチョにして不味い魚ってあるのかな……?

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

油をさらに足してみようかな、と思い、唐揚げにしてみた。
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……やっぱりちょっとパサつくんだよな。
加熱するとジューシーさがなくなるの、ヒラアジに共通する欠点だよなぁ…
赤身だからコクが増すのを期待したけど、カツオレベルに真っ赤っかじゃないとダメってことか。

味:★★☆☆☆
価格:★★★☆☆



一番美味かったのはアクアパッツァだけど、これも磯魚と比べると見劣りするし、やっぱり生が相対的に一番美味い。
あとはアラの潮汁は結構いい味出たけど、酸味が気になった。

アジやシマアジよりずっと安いのは魅力的だけど、その点でもツムブリにはかなわない。
ああ、旬のツムブリ食べたいなぁ……

あっ、アラでアジ大根やればよかったな!
割といい出汁でたし、甘辛い味付けで骨まで食べられるように煮こんだら結構美味しくなったかも。
今度手に入ることがあったらやってみよー。

 
 
 

コメント

  1. さかどくん より:

    こんにちは(^^)
    へぇ~ツムブリって美味いのかー。
    まぁ、小さいのしか見かけないのからかな。出回っているのは見た事がない。
    そーいえば、アカラ(キジハタ)はこちらではメバル、カサゴと共にメバチと総称されていますが、そのなかでは人気がない。シジュウメバチといわれるアイナメよりも少し高いかな。
    そこで、大きめの活けものはほぼ全量、瀬戸内行きですね。
    逆に、震災前は福島沖のズワイガニが大量に来ていましたねぇ(^o^)/

    • wacky より:

      キジハタの方が人気ないんですか!あの魚は全国各地で無条件に高級魚なのかと思ってました。

  2. 西洋呑み屋 より:

    炎で炙るタタキとかは、どうですかね?

    • wacky より:

      タタキはいいですね。。さっぱりしているのが逆に魅力になりそうです。塩ポン酢が美味しそう。

  3. 通りすがり より:

    はじめまして
    まちがってたらすみません
    ゼンの色と鰓蓋上部の黒点と身の色からしてギンガメではないでしょうか?
    オニヒラは白点で身は白かったかと…

    • wacky より:

      ギンガメは身が白いですよ。外見に関してはヒラアジ系は死後どんどん変わっていくのであまり参考にならないように思います。
      2枚に下ろしたときの真っ赤な身の写真を撮ってなかったのが悔やまれます。。

  4. 釣り好き より:

    はじめまして!いつも楽しく読ませていただいています。
    僕もこの魚はギンガメアジのように見えます。細かい特徴というよりぱっと見の顔つきの印象なのですが、いかがでしょうか?(ヒラアジ類は大きくなるにつれて顔つきの違いが分かりやすくなっていると思います)
    身の色に関してはオニヒラもギンガメも若いうちは白身と綺麗な血合いで、成魚では大きさや個体、〆方によって赤みが出てくる感じだと思います。ここまで大きいギンガメの身肉を見たことがないのでちょっと何とも言えないのですが、オニヒラではなかなか見ない鮮烈な赤ですね・・

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