「海の金魚」クロホシイシモチの刺身で海鮮丼(?)

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先日、またも野食会用のウツボを仕留めに西湘某所へと行ってきた。
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手際よくポンポンと数本のウツボを手にしてまったりとしていると、突然港内にいいカンジのナブラが。
釣り人が多かったためか、あるいは南寄りの風が吹き付けたからか、良いサイズのウルメイワシが入り込んできたようだ。
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さっそくサビキ仕掛けを取り出し、銀色の鯉のぼりを楽しんだ。


サビキ仕掛けによる釣りについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!↓↓
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星海社Webサイト「ジセダイ」
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!

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最大で20㎝ほど、一番美味しいとも言われるサイズのウルメイワシが10匹。
ウツボより嬉し……ゴホゴホ

水氷でキンキンに冷やして持ち帰り、さっそく調理。
包丁で頭を落として内臓を抜き、優しく手開きにして皮を引き、シソを敷いたご飯の上に乗っけて行けば
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ウルメ刺し丼の完成!

適度に脂がのり、青魚の風味が強い。
マイワシと比べると身が柔らかいが、逆にそのとろっととろける食感がクセになる。
イワシの中でも鮮度落ちの激しいウルメイワシの刺身は「釣り人の特権」そのものと言えるかもしれない。


味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

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クロホシイシモチもやむなく刺し丼にしてみた

……とここで終われば何の捻りもないただのグルメ記事なんだけど、それを許さない赤味がこの写真の片隅に写ってしまっている。
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そう、「金魚」こと、クロホシイシモチだ。
なぜ彼らがここにいるのかは、説明すると長くなる。(読了目安:1分)


今年は水温の低下が遅れているようで、餌取りの小魚が元気だ。
本来であれば青物(アジ、サバ、イワシ)が先にかかってくるはずのサビキ釣りでも、数に物を言わせてあっという間にすべての針を食べ尽くしてしまう。
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回遊魚である青物をたくさん釣るためには、できるだけサビキ仕掛け(と撒き餌)が海中にある時間を長くして、彼らを足止めする必要がある。
しかし今回は、サビキ仕掛けを入れた瞬間にクロホシイシモチの鯉のぼり(金魚のぼり?)が生成されてしまうため、青物(ウルメイワシ)の群れが目の前を通過した瞬間にサビキを入れて、通り魔的に仕留めていくという方法を取らざるを得なかった。


この方法でも、一瞬でもサビキを入れた場所は、こぼれた撒き餌にクロホシイシモチがまるでピラニアのごとく沸き立ってしまって釣りにならなくなる。
こうなると、撒き餌なしでサビキ仕掛けだけを沈めても、いやむしろ銀色に光る釣り針そのものを入れただけでも、エンドレスで釣れ上がってきてしまう。
海面を赤く染める様子は、僕らに無言の恐怖を与えた。


ただ一方で、クロホシイシモチはウツボの特エサでもあり、考えようによってはタダでいくらでも餌が手に入るということでもある。
生のクロホシイシモチは冷凍の餌よりもはるかに食いがよいうえに、餌として売られるイワシやホタルイカと比べると針持ちも良いので便利だ。

そのため餌用に何匹か釣ってストックしておいたのだが、使う前に終了時間が来てしまったため止むを得ず持ち帰ってきたのだ。


といっても、金魚ことクロホシイシモチ、こう見えて少なからぬ釣り人に「味は悪くない」と認識されており、僕も同様の感想を持っている。
上記の通り釣りの邪魔をする「餌取り外道」なので、とくに釣り人から蛇蝎のごとく嫌われてはいるものの、食べてみるとなかなかのものだとは思う。
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一方で小魚なのに頭ばかり大きく、骨ばっていて、調理方法が限られているのはこの魚が含まれる「テンジクダイ科」の宿命でもある。
彼らは基本的には「唐揚げ専用機」だとされていて、それ以外の調理をされることは(南蛮漬け等の派生料理を除くと)ほとんどない。
揚げることが前提となっているので、逆説的に「小さいものの方が珍重されやすい」という事象が発生していて、基準種でもあるテンジクダイは瀬戸内地方で高い評価を受けている

僕は以前にブイヤベースの素となる「スープドポワソン」をクロホシイシモチで作ったことがあるが、なかなか美味しく仕上がった。
良い出汁が出るのでこういう使い方ができるのだが、あまり知られてもいないようだ。


そんなクロホシイシモチだが、今回はウルメに対抗して刺身にしてみることにした。
よく考えたら生で食べたことが無かったし、身の味はいいことが分かっているのだから、生で食べてもきっと美味しいのではないかと考えたのだ。

というわけでただでさえ小さいクロホシイシモチの、
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3分の1以上を占める頭を切り落として鱗と内臓を取る。
内臓脂肪がたっぷり詰まっているので、ちょっと期待が膨らむ。

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小出刃の先で丁寧に3枚おろしにして

皮を引く……のが結構厄介なのでそのままでいいや。

シソを敷いたご飯の上に並べて、わさびの代わりに柚子胡椒を乗せて
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完成!

いただきマース。
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まずは刺身を単体で。

……(・~・)
味、弱いな……
小さいながらもぷりぷり感はあるのだが、なかなか淡泊でとらえどころがない。

こういった白身を味わうときには、柚子胡椒が役に立つのだ。

……(`・~・´)
うんうん、なるほどね。
柚子胡椒によって引き立てられた甘みが、脂の甘味と一緒になって感じられる。
フグみたいに数切れ束ねて食べるか、ご飯と一緒に大量に掻きこむとはじめて判る美味しさ。
めんどくさいけど、そんなに悪くないかも。。

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魚介その1(魚系)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. 夢の天秤 より:

    ネンブツは旨いですよね。
    小さくて耳石もあって食うところないですけど。
    うちはだいたい味噌汁か唐揚げです。
    三枚おろしやってるとムキーってなりそうです。

    • wacky より:

      僕も今後はもう造りたくないなと思いましたww
      骨ごとミンチにしてつみれにして、じゃこ天なんかも美味しいですよね。。

  2. ウツボ美味しそうですね。
    私もいつも網代に釣りに行ってたんですが、閉鎖されてしまって、今はどこで釣れるのやら。
    釣れる場所教えてください。
    もしくはご一緒させてください。

    ネンブツは美味しいですよね。
    刺身も美味しいし、干物も美味しいですよ。
    その干物を揚げても美味いっす。

    • wacky より:

      ウツボは小田原より西であればだいたいどこでも釣れますよ。確かに網代は狙いやすかったですけど、浅い磯にも簡単に入ってきますし、釣り場はいくらでもあると思います。

      ネンブツ、小さいことを除けばいろいろ有能でいい魚ですよね! まあ、その小さいという点がいろいろと台無しにしてるんですけど。

  3. ウピスコ より:

    このサイズのウルメはやばい…。見てるだけで胃が痙攣しそうであります…
    ネンブツたんは色々すごいですよね。えっ、疑似餌ですらないよ!?って時でも果敢に挑んできますもんね…、もうちょっと大きくなってくれれば、、色々ホクホクなんだけどなあ~

    • wacky より:

      ネンブツ、ウツボ釣り用のマグロ針(餌はネンブツ切り身)にも果敢にアタックしてたからなぁ……こうなるともうどうしたらいいのかww

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