小田原の「ながすみ」ことクロタチカマスは全身がバター入り大トロ

今週末「野食のススメ」第9回の記事が公開予定です。
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「スーパー美味い魚」との出会いだけで、人生の喜びは十二分に近いものがあると思う。


そうはいってもこれまで30年以上魚を食べ続けてきているわけで、中央市場やデパ地下、スーパーなどで普通に出会える魚たちについては、それぞれの味の上限・下限を含めある程度把握してしまったのではないかと思っている。(それでも時々、サワラみたいに想像を超えてくるものがあるので楽しいのだけれど)



となると心は必然的に深海、瀬戸内、有明といった特殊な環境や、非経済魚と呼ばれる雑魚たちの多い場所に向いていく。

僕のホームグラウンドである西湘は、沖合が世界屈指の深海湾となっていることもあり深海魚の水揚げが多い。
片瀬漁港,直売所
加えてそのドン深の地形から定置網漁が盛んなのだが、網に入った非経済魚を安く売ってくれるような魚屋・直売所がとても多い(定置網はその性質上、資源保護に向いている漁法であると同時に、積極的に獲る必要のない魚(=非経済魚)もたくさん獲れる)


さらに僕の大好きなウツボもじゃんじゃん釣れちゃうというわけで、まあ控えめに言ってパラダイスなわけである。
仮にもし万が一、ウツボが釣れないような目にあっても、帰りに小田原でこれらの魚を購入していくことで事なきを得ることができるのだ。

 

小田原のローカル高級魚「クロタチカマス」をゲットした

で、早速先日、野食会用のウツボを釣りに行くも無事ボウズをくらい、傷心のまま小田原市街に向かった。
目的地はこのブログでも過去に何度か紹介している、小田原が誇る西湘最強の魚屋「魚國」だ。

東伊豆でボウズを食らったら小田原の「魚國」に寄ると良いよ!


ここなら何かしらの変わった魚が見つかるだろう、もしなくてもアブラボウズ(おしつけ)を買っていけばいいだろうと思い店頭を覗いてみると、非常に気になるシルエットが。

すみません、この魚……あ、マグロじゃなくて、それをぐるっと取り巻いてるやつ。
これ、もしかしてナガスミってやつですか?

「ああ、そうだよ。いい値段しますよ」

(わざわざ言ってくれるの超優しい……)いくらくらいしますか?

「キロ3,600だから……これだと……2900円だn」ください(食い気味に)


ナガスミというのは「長炭焼き」という意味で、この魚の真っ黒な様子から呼びならわされてきた地方名だ。
正式和名はクロタチカマスという。
普通のスミヤキもいて、こちらは同科のクロシビカマスにあたる。

この2種はどちらも全国的には下魚(というか非経済魚)なのだが、西湘~東伊豆にかけては珍重され、高級魚扱いとなっている。
しかし、スミヤキに比べてナガスミはキロ単価で倍くらいの値段がするようだ。
見た目だけでいうとスミヤキをただ細長く伸ばしたみたいな感じなのだが……そこまで味が違うのだろうか。

試してみよう。

ナガスミ、美味しすぎて笑う

改めて観察する。

顔はタチウオをより凶悪にしたようなカンジで、背鰭も刺々しくて危険だ。


胴は細長く、一見すると太刀魚のようだが後端には見事な尾びれが付いている。
体色は黒く、皮膚のすぐ下に走る骨はその食べづらさを容易に推測させる。

内臓にはやたらと細長い魚が入っていた。
これ、もしかしてスミヤキとかナガスミじゃないかなぁ……


頭、肛門より前、肛門より後ろ、尾鰭付近の4パーツに切り分け、まずは前半身を刺身にしてみる。


脂がすごい。
また板や手が黒い色素で染まってしまうので厄介だ。



スミヤキ同様、皮下埋没骨が非常に長くて鋭いので、3枚に下ろしたら皮を下にして、骨より上側の肉をそぎ取るようにして薄造りにする。


皮下埋没骨周囲の肉は、スプーンでこそいでネギトロ風に。



いただきマース

……(;∀;*)
なんだこの脂は……たまげたなぁ……
よい脂が甘みを感じさせるのは周知の事実だと思うが、これはそんじょそこらの脂とは違う、強烈な甘み!

さらに普通と異なるのが、たとえばトロなんかだと口に入れた瞬間が一番濃厚に脂を感じると思うのだが、ナガスミの場合は初めはそこまで感じないのに、食べ続けているとだんだん舌の上に脂の甘みが蓄積されていく。
超高級ホテルバターのような、ずっしり来るのにバクバク食べすすめてしまう不思議な脂なのだ。

もしや不飽和脂肪酸ではないのか……??(ワックスではないと信じたい)


これは……スミヤキより3倍ぐらい旨い。
いや、スミヤキも過去に絶賛してるくらい好きなんだよ? でもナガスミはそのはるか上を行くね。
2倍の値段もやむなしだわ。



さらにこの脂、塩焼きにしたり

煮つけにしたりすると

突然黄色みを帯び、さらにバター度を増すのだ!

スミヤキと違って、中骨の周囲までしっかりと脂が入り込んでいて、身離れよくふわふわ・トロトロしている。

アブラボウズとも、またバラムツとも違った不思議な脂……
同じ場所に住んでて、近い仲間同士なのにこうも違うとは……やっぱり深海魚は面白いなぁ……

味:★★★★★
価格:★★★★☆

 
 
 

コメント

  1. ひろまえ より:

     パーツはミズウオにちょっとだけ似てますねー。
    味まで似て無くて幸いでした。

    • wacky より:

      どちらも深海魚同士、餌の少ない環境で暮らし、獲物を見つけ次第逃がさずとらえるためにこんな凶悪な面になったんでしょうね~。

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