商品偽装の被害魚「チカ」と「キュウリウオ」を食べて比べてみた

最近、「ワカサギ」の巨大化がハンパない。

いや、別に放射性物質で巨大化したとか、種そのものが大きくなったというわけではない。
ここ関東で、店頭に並んでいる「ワカサギ」という商品がどんどん大きくなっているのだ。

チカ

これがワカサギ…?


かつて関東でワカサギと言えば、天ぷらや唐揚げ用の10cm前後の魚だったと思うのだが、ここ数年は20cmほどあるものも見かけるようになった。
シシャモよりも遙かに大きいものもある。

じつはこの巨大な「ワカサギ」は、おなじキュウリウオ科のチカという別の魚なのだ。
見た目はそっくりだが、15㎝ほどにしか成長しないワカサギに対して、チカは20cm以上になる。
つまり厳密にいうと商品偽装ということになるわけだが、今のところ大きな問題にはなっていないようだ。

さてこのキュウリウオ科、代表種はもちろんキュウリウオなのだが、こちらはときに「シシャモ」として売られることがある。
シシャモもキュウリウオ科の魚ではあるのだが、属が違うためそこまで近縁というわけでもない。

チカもキュウリウオも、それと意識して食べたことがこれまでなかったのだが、先日たまたま同時に手に入れることができたので、改めて食べてみることにした。

チカとキュウリウオをよく見てみる

発端は鎌倉のとあるスーパーマーケットで馬鹿でかい「ワカサギ」を見つけたことであった。
直感的に「チカかな?」と思ったのだが、明確な区別の方法を知らなかったので、とりあえず購入して持ち帰ってみることにした。

その後、鎌倉市農業直売所に行ってアーティーチョークが売られていないか確認するもまだ早すぎて売られておらず、そのまま隣の中央食品市場の干物屋を覗いてみたところ「キュウリウオ」として売られている干物を見つけた。

キュウリウオ,干物

「きゅうり魚」大プッシュ


確かに「シシャモ」として売るのにはやや大きすぎたのはあるが、名前のブランド力に頼ろうとせず、正しい和名で販売する姿勢に感嘆し、購入した。
ちなみに同じ店にシシャモも売られていた(燻製だけど)
シシャモ,燻製

5匹で100円は安い。そしてめっちゃおいしい




持ち帰って一つの皿に並べてみると、大きさこそほぼ同じであるものの、一見して明らかに違うことがよくわかる。
チカ,キュウリウオ

上がチカ、下がキュウリウオ


チカとワカサギについては、背鰭と腹鰭の位置関係で同定することができる。
それぞれの最前部を見て、腹鰭の方が前に出ているとワカサギ、逆だとチカだというが…
チカ

分かりにくいけれども


やはりこれはチカということで良さそうだ。
一番大きいもので22㎝もあったので、これがワカサギなら研究機関に報告しようと思っていたので少しばかり残念である。

キュウリウオの方もほぼ同サイズで、体表の色合いや薄くてはがれやすい鱗などはとてもよく似ているが、顔のつくりが全く違っている。

キュウリウオ,歯

しゃげぇぇぇ


受け口で非常に歯が鋭く、ここだけ見るとアマゾンの牙魚カショーロのようだ。
シシャモはここまで歯が目立たず、受け口度も低いので、慣れればすぐに見分けられそうだ。

どちらもとりあえず焼いてみることに。

チカ,キュウリウオ,塩焼き

フライパンでこんがり塩焼きに


身質はほとんど変わらないが、キュウリウオの方はその名称の由来になった青臭いキュウリ様の香りがぷんと漂ってくる。
チカにもわずかに感じられるが、個性と言えるほどのものではない。

ワカサギとチカの比較では、身が大きい分チカの方がホクホクとして味がしっかりわかるが、骨が固いので頭から丸ごと食べるというわけにはいかない。
身離れがいいので、骨をきれいに剥がして食べるのが良さそうだ。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

シシャモとキュウリウオの比較も似たようなもので、キュウリウオの方が風味、味、骨がしっかりして美味しいが、骨ごと食べられないのはマイナス点だ。
ただチカと比べると多少柔らかいので、よく干したものをカリッと揚げれば丸ごと食べられるかもしれない。
その際は鋭い歯が舌に刺さらないように注意すべきだろう。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

それにしても、キュウリウオのこの鄙びた香りは個性として特筆すべきものである。
シシャモと名乗らされてしまうのは非常にもったいないことだ。
スイカのような香りがアユの価値を高めるのと同様、このキュウリ香があるからキュウリウオをセレクトする、という考え方が一般的になればいいのにと思う。

今回は運よく卵巣も入っており、市販の子持ちシシャモと同じ味であるが、より大きいのでお得感があった。

純粋なシシャモが激減する中、カペリンという全く別種の魚をカラフトシシャモなどと言って流通させるくらいなら、このキュウリウオをもっとプッシュすればいい。
個性とか目新しさを求める消費者は、流通業界が考えているよりもずっと多いはずだ。

 
 
 
 

コメント

  1. はいね より:

    初めまして!ブログ興味深く拝見させて頂きました&キュウリウオを取り上げていた
    のでコメントしてしまいましたw

    キュウリウオはロシア旅行中に干物…と言うか
    頭を取ったジャーキー状の物を”ウグイジャーキー”と言われて渡されましたが、
    とても美味しかったですね。

    最初は『ウグイってこんなに美味しくなるんだ!?』
    と感動したんですが、話を聞くと
    『キュウリの香りがする歯のあるウグイは美味しい』
    とか言い出してキュウリウオと分かった次第です。
    現地の人は婚姻色てるってことで
    あまり区別してなかったですが、大雑把過ぎて笑いました。

    いきなり長々コメントしてしまいましたが
    今後の更新楽しみにしています!

    • wacky より:

      コメントありがとうございます!

      やはりあの香りは燻製にしても残るんですね!それは美味そうだ…
      ウグイも不味くはないんですが、キュウリウオと比べちゃかわいそうです(笑)

      本州以南でももっとポピュラーな食べ物になると良いのになぁ…

  2. すず より:

    初めまして。最近こちらのブログを発見して興味深く読ませていただいています。
    一年半も前の記事へのコメントで恐縮ですが、小さい頃よく釣っていたチカのことだったので書き込んじゃいます。

    チカみたいなワカサギが売ってると思ったら、チカそのものだったんですね。

    私の地元、北海道の道南地方では、漁港でのファミリーフィッシングはもっぱらサビキでのチカ釣りでした。
    シーズンになれば魚影がすぐ近くでたくさん見え、サビキ仕掛けと重り(コマセかごすらついてません)をつけた竿を上下させるだけで簡単に釣れたと記憶しております。

    釣ってきたチカは鱗と頭と内臓をとってフライにしてソースをかけて食べてました。地元ではもっぱらこの食べ方だったように思います。サイズが大きすぎなければ、骨ごといけます。
    ✳大きめのものを刺し身で食べたこともあったはずですが、記憶に残る味ではなかったように思います

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