佐治さんの「骨切りしないハモ」をレントゲンなしで考察したい

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よろしければぜひ一度、手に取ってみてくださいませ。(ジセダイサイト内で試し読みも可能です)


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将太の寿司(寺沢大介作、週刊少年マガジンKC、講談社)より


みんな大好き「将太の寿司」では、最終対決のネタのひとつにハモが用いられました。
このレントゲン写真を掲げている板前は、主人公・関口将太の最大のライバルである佐治安人というキャラです。

彼は寿司の全国大会の決勝という舞台でとっておきのハモを出すために、本場京都でハモの骨切りを修業。
習得に何年もかかるとされる骨切りをほんの短期間でマスターしたうえで、それを超える寿司を出すために、ハモをレントゲンで撮影するという荒業を敢行しました。

これによりハモの骨を完全に理解した彼は、最小限の切れ目を入れることですべての骨を抜くという超絶技法を披露し、「骨切りしないハモ」の寿司を握ることに成功。
審査員たちの度肝を抜きます。


……とまあいかにも漫画的な展開なんですけど、もしこれが本当に可能ならば、冬のハモ最大の魅力「とろとろ皮下脂肪」を刺身で堪能することが可能なのではないか、と思ったわけです。


とはいえ、我が家はお医者さんではないのでレントゲン写真を撮ることは不可能。(ってか佐治さんどうやったんだ、医者を脅したのか)
代わりに、これまでハモをはじめ各種長物を捌きまくってきた経験をもとに手元のハモでいろいろと試しながら、考察していきたいと思います。

※以下の部分は、このページにあるハモの骨格標本写真と比較しながらお読みいただけると多少は分かりやすいかもです。ってかこれがないと自分でもちっともわかりません。文章にするのムズいんすよ……

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ハモの骨、まじヤバい

開いた状態では、このとおり

親指と人差し指の位置に、背骨に平行に小骨が一列に並んでいるのが見えます。
これはおそらく、背骨から小枝のように飛び出ている小骨なのではないでしょうか。

これだけなら普通の魚と同じなんですが、最も違うのが、

ウナギ目ならではの皮下埋没骨。
背骨から独立して存在し、皮下の浅いところにずらっと並んでいます。

ウツボと違うのが、これが上下に1対ずつずらっと並んでいること。

皮下埋没骨に沿って爪楊枝を置いてみた

こんな感じに骨が入っています。
なので、3枚におろした場合の断面に、骨が4~5か所露出することになります。

爪楊枝の刺さっているところがに骨が露出している

ウツボの場合、腹側には小骨がないので、腹身を切り出せば簡単に刺身にできますが、ハモについてはそういうわけにはいきません。
まとまったサクに取りたいなら、骨抜きは必須となるでしょう。

ということで、取り急ぎ今露出している部分から骨を抜いてみましたが……

だめだこりゃ。
骨の端が筋肉にしっかりとくっついているようで、身が崩れてしまいます。
同じ長物でも、ウツボであればもう少し身がしっかりしているのですが、ハモはスプーンでこそげるくらい柔らかい身なのでしょうがない。
骨に沿って切れ目を入れて、そこから骨を抜くのが必要になるのでしょうか。


骨に沿って包丁入れ、そこから骨を露出させてみました。
こうすれば身が崩れないのではと思いましたが……やっぱりちょっと難しい。
意外とこの骨が長く、皮ぎしまで続いているので、深追いするとそこで身が分断されてしまいます。


そして仮にこれで綺麗に骨が抜けたとしても、最難関であるところの皮下埋没骨が残っています。
これは包丁をどのような形にしろ入れたところで、果たして露出させることができるのだろうか。

もし切れ目を入れるとしたら、血合いに沿って切れ目を入れてその断面から抜いていくとか……?

実際にやってみると……

確かに血合いの断面から骨を露出させることはできないでもないですが、多少左右に切り広げないと取り出せないですね。
それでも何とか骨を露出させ、そこから抜こうとしたのですが

oh…


茸本朗、完全敗北。
だめだこりゃ、絶対無理だ。骨の周囲の組織自体がずるっと抜けてきてしまいます。

今回のハモの身が柔らかすぎるのか……と思いましたが、そんなわけはないはず。
活け締めにして、さらに神経抜きまでしてもらっているんですからね……


やはり個体として大きすぎるのがいけなかったのか。
もう少し小さい個体で、骨切りして食べられるレベルの皮下埋没骨であれば、そして本当に締めたてをすぐに開いたものであれば、こんなに苦労すること骨を抜くことができるのだろうか。
佐治さん教えてくれ……!

ハモのネギトロ

さて実は、この佐治さんの話には元ネタがあるそうです。

将太の寿司コミュのハモ

ここに記載のある「秘伝鱧料理」ですが

ご覧の通り。
本当の板前さんや、ハモ料理を極めんとする決意のある人しか手が出ない価格となってしまっています。
我々素人は今後も地道に研究を重ねていくしかなさそうです。


ただそれはそれとして、ハモの皮ぎしの肉はとても脂が乗ってて美味しそうです。

マグロでいえば「ネギトロ」に使用される部分なので当然ですね。


というわけで、スプーンでこそいで取り集め、ネギと合わせて叩けば


ハモネギトロの完成!

……(≧〰≦*)
メチャウマー!!
ハモの脂肪はゼラチン質を伴った層になっており、とろっとした舌触りとジャキッとした歯ごたえが一緒に楽しめます。
更にウナギ目独特の風味もしっかりとあるので、これはかなり絶品。

さらにもうひと手間加え、ハモの皮の上にネギトロを乗せてくるりと巻き、そのまま焼いてみました。

ハモの皮は竹串に巻いて焼き「ちくわ」のようにして出されることもある非常に美味しい部位。
美味しくないわけがないでしょう!

味:★★★★☆
価格:★★★★☆


次回はもう少しノーマルなサイズのものでやってみます。
何とかしてマスターしたい。だってこのページのハモとか、めっちゃ美味そう。

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コメント

  1. 微食家 より:

    寿司のバイブル、将太様みたいにはいかないですか…。いつか骨抜きを成功されて「ふぅわり典雅な。。。」って感想の記事がアップされる事を心待ちにしています。

  2. 西洋呑み屋 より:

    鱧の皮を焼いて細切りにしたのは、大阪や京都では普通にスーパーで売ってますね。w

    高級な竹輪や蒲鉾にすり身として使われた後のモノ…。

    因みに、最近では、極一部関西の高級な和食で、骨抜き鱧が出てくるみたいですが。

    • wacky より:

      新京極で見ました! ハモの皮、確かにほかのウナギ目と違って脂が上品だし、磯臭さもないし美味しいんですよね……

      最後の一文、ひょっとすると皮肉の意味が含まれてます?(`・ω・´)あんなものは邪道だ、とか……

  3. くそコロネ より:

    生のハモ!
    ううう
    うんまそう!
    骨についての再チャレンジがあればお願いします!

  4. より:

    秘伝鱧料理ですが、国会図書館に所蔵されています。
    半分を超えない量まではコピーできますので。ご参考まで