グルミアたんで低温調理①:低温調理覚え書き2016

そろそろAnovaは小林さんに報奨金のひとつでも出したほうがいいと思うんだ……!
というくらいブームになっている低温調理器
ここはひとつ、僕も手に入れてみようと思い、米国Amazon.comに注文したのが今月の頭。

メーカーから「発送は12/15前後になるよ~」と連絡があった翌日12/12、無事我が家に到着したのがこちら、
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グルミアたんこと、GSV130 Digital Sous Vide Pod。
Anovaの安売り期間をギリギリで逃してしまい、送料フルで買うのもシャクだな……と思っていた時に目に入ったのが、Anovaより50ドルくらい安いこちらのアイテムだった。(しかも送料フリー)
Anovaと違って日本国内での使用例はほぼ無いようで、当然ネット上に使用レポもなく、日本の100Vコンセントで使用できるかなども含めて完全に人柱となる覚悟が必要となった。

実際は変換プラグがあれば問題なく稼働した

実際は変換プラグがあれば問題なく稼働した




Anovaとの最大の違いは、大きなプラスティック製のクリップが付いていること。
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これで鍋や容器に固定するのだが、Amazon.comのレビューでは「クリップがちょっとチャチいので星ひとつマイナスな!(意訳)」みたいなものがあったのでちょっと不安視していた。
実物を手にして、グリップ力がしっかりとあることが確認できたのでひと安心。

なお、レビューの中に「Anovaと間違えて買っちゃったので星1つです」というロックなものがあり「アマゾンのネット民度は世界共通なんだな」という認識を無事得ることができた。

 

グルミアたん、初期不良(泣)のため寸胴で低温調理をやってみた(12/15)

さっそくトライしてみようと思い、コンセントにつないで電源を入れてみた。

低温調理機そのものは非常に簡単な仕組みで、設定温度と時間を設定し、水を張った容器に差し込んでおくと、好きな時間だけその温度を保ち続けてくれるというもの。
Anovaもグルミアたんも基本は変わらず、ユーザーインターフェイスもおのずと似通ってくる。


ダイヤルで温度を設定し、タッチパネルのボタンで調理時間を設定、同じくタッチパネルの電源ボタンでオン・オフをすればOK! なのだが……

どうもタッチパネルが不調で、電源スイッチが5回に1回くらい反応しない。
さらに、どう操作しても時間の設定モードにならない、というか設定ボタンが使えない。

これは……初期不良だな……

Anovaもしばしば初期不良があるらしく、メーカーに問い合わせするとすぐに交換品を手配してくれるそうだ。
仕方がないので、メーカーに連絡して対処法や対応について確認したのだが、メールを2通送り、1週間待ってもまったく音沙汰なし。

1通目は「対応してくれれば、お宅の商品をめっちゃ紹介するから、よしなにね❤」
2通目は「このまま無視したらテメーのとこの客対応はクソだってネットに晒すぞごるぁ」
と硬軟織り交ぜて連絡を迫るも、黙殺されてしまった様子。


最初はどーゆーことやねん! と怒りの気持ちがあったが……
考えてみれば、頼んでもないのに日本人が商品を購入・個人輸入して「動かない! なんとかしろ!」とか言い出しても、無視したくなる気持ちは分からんでもない。(送料だってフリーだったし)
残念だが、まあ人柱になるというのはこういうことでしょう。


しかし、すっかり低温調理チャーシューを作る気でいたので、すでに手元に肉塊がある。
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とりあえずこれをなんとかせねばならない。

ということで我が家で一番大きな寸胴(パスタ鍋とも言う)にマックスギリギリまで湯をため、温度計で確認しつつ80℃程度で3時間ほど煮てみた。
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湯の量が多ければ多いほど恒温に保ちやすくなるため、このサイズであれば手動でもギリギリ低温調理が可能となるのだ。

できたものがこちら。
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うーん、まあまあ美味しいけど、往年の馬場二郎の外れ豚くらいのクオリティで、目指しているものとは大きく違った。
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僕にとっての美味しいチャーシューは「肉は歯切れよく、余計な脂は落ちていて脂身はぷるぷるトロトロ」。
二郎で言うと関内。

やはり、手動で長い時間、室温との差が大きい温度を保ち続けるのは難しい。


翌日、ウツボでもやってみた。
そもそも野食会にあわせてウツボの低温調理をしてみたくてグルミアたんの購入を決めたのだが、こういう事情であればやむを得ない。
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寸胴に45℃の湯を入れ、冷めたら再加温を繰り返しながら、2時間ほどやったのが
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こちら。
味については野食会のレポートをご参照いただきたいのだが、たいへん美味であった。
何度か誤って加温しすぎてしまい、50℃近くまで湯温が上がってしまったので不安があったが杞憂だったようだ。


ということで、ある程度のレベルまでならば寸胴でも問題なく低温調理ができることが分かった。
そして同時に、不良品のグルミアたんを使っていく決心もついたw

メーカーの対応を待つのをあきらめたというのもあるが、さいわいにして加温・保温機構は問題なく稼働するようだった、というのも大きい。
どうせタイマーは時間になるとビープ音が鳴るだけで加温が止まるわけではないようなので、それならば手動でオン・オフすればいいだろうという考えもあった。

グルミアたんでいろいろ低温調理してみた

そうして12/20、グルミアたん実戦デビュー。
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前日から仕込んでおいた豚の肩肉を、65℃で8時間。

2時間ほどして温度を測ってみると、ヒーター寄りのところは65℃、逆サイドは64℃。
まあ、1℃の誤差ぐらいは許容範囲かな……
寸胴じゃなくて大きな容器を使えば、対流が起きやすくなってより恒温状態に保ちやすくなるかもしれない。

設定温度になると音が鳴り、カウントアップが始まるので、正確な調理時間がわかるというのも低温調理器を使う大きなメリット。


できあがった物を、230℃のオーブンでさっと焼いて、焦げ目をつければ完成。
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……(`・~・´)
うん、やっぱり美味い!
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肉はサクサクしているのに脂身はトロトロで、まるで初めて温泉卵を食べたときのような驚きを感じられる。
これが低温調理の魅力なんだろうな。。


続けて、魚の低温調理にも再トライ。
参考にしたのはこちらのページ
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刺身用のブリの皮を引き、15%食塩・砂糖水溶液に1時間漬けこむ(腸炎ビブリオが心配な人は皮を引く前に一度、真水でよく洗うといいかも)。

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ジップロックに入れて、オリーブオイルでひたひたに。
これを鍋に溜めた湯に沈め、中の空気を抜いていく。
切り身と空気と触れる面があると、そこで好気性の好ましからぬ細菌が繁殖する可能性があるので、必ず油でひたひたになるようにオリーブオイルを多めに入れる。

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これを40℃で1時間加熱。
そのまま冷蔵庫にインして一晩寝かせ、肉を落ち着かせる。
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ステーキのイメージで厚めに切りそろえ、新たなオリーブオイルと酢漬けのケイパー、粗挽き胡椒をさらりと振って

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うん、いいカンジ!

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ナイフを入れてみると、生のものとは明らかに違った、繊維がほぐれるような切れ心地がある。
一方で水分は抜けていないためむちむち感も残り、生なのか調理済みなのか、自分でやっておきながら頭が混乱してくる。

いただきマース
……(`・~・´*;)
なんだこのフシギ食感は……!
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噛んだ瞬間、筋肉に沿って組織がふわっとほぐれるのだが、そのひとつひとつが弾力を保っており、みずみずしさが口にあふれる。

腕のいいシェフが調理したソテーやポワレは、中心部にレアな部分が残るように加熱されており、食感や風味にアクセントを与えている。
低温調理はまさにそのレア部分だけが抽出されたようなカンジで、他にはない独特の味わいが楽しめる。

また、加熱時に脂が溶けるためだろうか、舌にのせると脂の甘味がふわっと舌を包み込むように感じられる。
ブリよりも、脂の少ないワラサやイナダのほうがよりダイレクトに肉の味を感じられて良いかもしれない。


腸炎ビブリオ怖いマンのために、低温調理前に表面をソテーする方法も試してみた。
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味は変わらないけど、見た目があまり美しくないかな。

個人的には、ここまで硬い食感よりもう少しやわらかくほぐれるようなものが好みなので、もう3、4度温度を上げてみても良いかもしれない。
先ほどリンクしたページによると、魚の低温調理時の温度帯(35℃~50℃)は腸炎ビブリオをはじめとする有害な細菌の繁殖適温でもあり、低温調理を行う場合は2時間以上の調理はやめたほうが良いようだ。
肉の場合は「同じ温度でより長く」調理することができるが、魚の場合は「同じ時間でより高温」が鉄則と考えるべきだろう。

また、ウツボのように皮付きで調理するものは、あらかじめ表面を十二分に真水で洗い、好塩菌をしっかり排除しておきたい。


後日、せつなさんがウツボを45℃1時間加熱で調理し野食会のウツボの再現に成功したとのこと。

僕の中で「魚の低温調理は45℃程度」という理論が確立しつつある。
もちろん、身質や大きさによって適温が変わるはずなので、今後も引き続きの検討が必要だろうけども。。

 
 
 

コメント

  1. ひろ より:

    確かに、ビブリンとボツリンは真空低温だと脅威ですね。
    店の調理の場合真空はやってないんですが、70℃のオイルに下味した魚投入~三分後オイル投入で温度下げ(47℃まで)~30分キープ~皮だけフライパン焼きでやってます!

    • wacky より:

      客に提供するものだと、安全性が不確実な調理法はできないでしょうからねぇ……
      少しもったいないですけど、表面をしっかり加熱してからトリミングして……というのも安全性が高まるかもしれませんね。個人的にはそこまでしなくともと思いますけど。

      記事内にリンクを貼ったページで紹介されてたシェフも、同じ料理を日本で提供するのは難しいかもですね。。

  2. たきあ より:

    そんな塩対応するメーカーがあるんですね。結局、連絡はなしですか?

    • たいめん より:

      我々の業界だと、「ネット見てわざわざ遠方から受診してくるようなハイリスクな患者診たいか?オレはごめんだぞw」なる金言がありますががが

      • wacky より:

        いや、まさにその通りだと思いますよ! 
        「頼んでもないのに……」って思ったんだと思います(^_^;)

    • wacky より:

      国内の企業ならもっと食い下がりますけど、まあアメリカですから……
      新興の電子調理器具メーカーのようですし、国外展開を考えている段でもないのでしょう。

  3. 通りすがりです より:

    こないだ仔羊を低温調理(58℃で2時間半)かけたとき、アリルからし油でちょっとぐらい殺菌できるんじゃないかと思い、
    下処理の際にワサビを薄ーく塗りたくってみたんですが、もしかしたら魚にも効果あるかもしれませんね。
    どうせ焼いたら揮発して分かりませんし、気のせいか風味が増したような・・・
    一緒に入れたズブロッカのおかげかもしれませんがw

    • wacky より:

      細菌の場合は効果ありそうですね! 魚の低温調理時には良さそうに思います。
      ウイルスだとちょっと心配かな……

  4. ゆーきうさぎ より:

    今日から低温調理デビューをしました!

    自分も早いところウツボ釣ってきて、低温調理にかけてみたいですねー
    あと、記事のなかで見映えが気になったブリ表面をソテーですが、鰹の叩きみたくバーナーとかで炙っちゃうのはどうでしょう?

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