クエの頭料理(頭とは言っていない)を作って食べてみた

「野食のススメ」第11回の記事が公開されました!!
↓↓
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
星海社Webサイト「ジセダイ」
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


先日、吉池の鮮魚コーナーをうろついていると、突然すさまじい「円」を感じて振り返った。
(僕の「円」は吉池全体を包み込む程度のもの)
どうも切り身コーナーに念能力者がいるらしい。

確認してみると、「円」の使い手はこの

クエのようだ。
天然もので、おそらくメーター近いと思われるサイズ。
ここまでの大きさになると、浜値でもキロ10,000円は堅いスーパー高級魚となる。


当然ながら刺身は高くて買えず、アラに手を伸ばしたが


これもなかなかの値段だ。
それでも、天然クエを食べる機会などそんなにはないので、後悔しないよう一通り購入していくことにした。

……と思ったけど頭はヒヨったのでやめた。
頭半分、カマなし鰓なし脳天なしってこれもうほとんど骨だけやんけ……
それで1,800円とか、さすがは天然クエを言わざるを得ない。。

 

「頭料理」を作ってみた

さて、頭を買わなかったといっておきながらあれだが、今回はこれらのパーツで「頭料理」を作ってみたいと思う。
頭料理とは大分・竹田市に数百年前から伝わる伝統料理で、大きな魚のアラをパーツごとに茹でわけ、ポン酢で食すというものだ。
頭周りだけでなく、内臓や鰭なども用いる。


山間部の盆地に位置する竹田市は昔は新鮮な海産物が手に入りづらく、また輸送に時間がかかるために小型魚は鮮度が落ちてしまっていた。
そのためクエやハタ、ニベなどの白身の大型魚を好んで食べ、またすべてのパーツを無駄なく食べつくすという食文化が生まれた……のだそうだ。

このあたりのエピソード、同じく大分の山間部に位置する日田市に伝わる「たらおさ」とも共通する部分があるが、あちらは「干しダラの美味しい部分は沿岸部の人々が食べつくしてしまって、日田にまで届いたのが鰓と胃袋だけだった」という畜生伝承が残っていたりする。
この違いはなんなのだろうか……


深く考察すると大分県民に暗殺されるかもしれないのでここまでにして、さっそく頭料理を作っていきたい。

今回用いるのはクエの

・中骨
・鰭周り
・鰓
・胃袋
・肝臓
・皮
・卵巣
である。

鍋に湯を沸かして塩をひとつまみ入れ、パーツごとに茹でていく。
長く茹ですぎるとうま味が流出してしまうのだが、逆に短すぎると硬すぎて食べられないので加減が難しい。


皮はぷにゅぷにゅ感を出すため、30秒程度と短めに。

中骨、鰭は大きく、火をしっかり通すため2分ほど茹でた。


胃袋は塩でもんでぬめりを落とし、数分茹でて冷水にとる。
基本的にはゼラチン質なので、少し長めに茹でてから冷水で「締める」というイメージを持つと失敗しないようだ。


肝臓と卵巣は一口サイズに切って、さっと茹でる程度にしてみた。


最後に鰓だが、これはちょっと面倒くさい。

まず、鰓耙(赤くて櫛みたいになっているところ)の先端を1㎜ほど切り、

ボウルに溜めた水の中でぶにぶにと揉んで内部の血液を絞り出す。

何度か水を変えながらよく洗いだしていくと、

このように、色が白っぽくなってくる。

これを熱湯に入れて、1分ほど茹でると

鰓耙が骨から剥がれてヤスデのように丸まってくる。
これを冷水にとればOK。

皿に盛りつければ

完成!
大分のポン酢でいただきマース

いい酒も用意(うちのお酒は基本的に連れが買ってきてくれます)


……(`・~・´)
うん、これは面白いね。

総論として、クエはゼラチン質が非常に多い魚なので、どのパーツもプリプリとしてうま味が強くとても美味。
とくに皮と鰭は歯切れよく、ムチムチプリプリと官能的で絶妙だ。



中骨や鰭周りの肉は非常に脂がのっていて、この部分だけならアブラボウズと間違う人がいてもやむを得ないレベル。
食べていると胸焼けがしてくるほどだ。


胃袋は長く茹でていたにもかかわらず強靭でジャキジャキとした歯ごたえがあり、このまま焼き肉のパーツとして活用しても違和感がない。



肝臓、卵巣は美味しいは美味しいが、クエらしさはあまり感じられない。
甘辛く煮つけてご飯と一緒に食べる方がよさそうな気もする。

で、鰓ですが

……蟲?

歯ごたえは強いパリパリ感とコリコリ感がないまぜになったようで、非常に独特だ。
そのものの味はほとんどしないが、形状上つけダレをよく噛むので、ポン酢の味がいいと美味しく食べられる。

味:★★★★☆
価格:★★★★★



こういう「食べ物を無駄にしないための知恵」が時間を経て高級料理になっているやつ、結構好きです。
日本中にあると思うので、見つけ次第自分でも作ってみたいなと思っている。
なにか面白い伝統料理の情報などありましたら、ぜひコメ欄かTwitterなどで教えてくださいませ。。

 
 
 

コメント

  1. nonnoko より:

    ハンターXハンターが始まった途端のネタの放り込み・・・
    さすがですね・・・
    ブログ本文にも何か隠されていないか「凝」を使ってしまいました。
    頭料理の話は知ってはいましたが実物としての料理行程を見たのはこれが初めてです。
    やはりクエクラスにならないと無理なんですかね・・・
    クエぐらい大きな頭の魚なら同様の料理が出来たりしてw

    • wacky より:

      あ、そうですそうです、アラがでかい魚なら何でもいいんです。ただまあ、実質ハタ科魚専用料理でしょうけどね……

  2. 虫は食えない より:

    猟師さんに聞いて来たんですが、猪の一番美味しい部位は「ほっぺた」だそうです
    解体しながら我慢できずにその場で焼いて食べるほどだそう
    日曜朝の5時半に外で七輪使って焼き肉するのは止めてほしいんですが(笑)

    • wacky より:

      ほっぺ! まあイノシシのほほ肉は発達してそうですもんね……
      外ならまあいいんじゃないですか?w 焼き肉の匂いで目が覚める週末ってのもまた乙では

  3. 竹田っこ より:

    頭料理は、今では地元では料亭でしか食べられません。我が家も祖父母が元気な頃は、暮れに頭を買い求めて作っていましたが、頭だけでも、鉈で解体する様な巨大なものでした。(中庭で解体する様な巨大なのでした)
    真子は型崩れしない様に、布でくるんで茹で冷ましてスライスします。鰓は包丁で丁寧にシゴいて血抜きをしてから湯がきますので、仕上がりはもっと白く透明で綺麗です。中落ちの様な、身もポロポロになるので茹でて、タッパーとかに入れて冷蔵庫でとって置くと、煮こごり風になり美味しかったです。
    まさか、頭料理が出て来るとは思いませんでした〜。一人前2000円位で一万円から、お正月に料亭とかで買えます。(美味しいかどうかは、三杯酢の味次第です。)

    • wacky より:

      料亭料理で予約必須、かなり高価という話は聞いていましたが、やはり手が込んでいるのですねぇ(`・ω・´)僕はもう食えればいいやってカンジだったんで、手抜きしちゃってて恐縮ですw一度本場で食べてみたいものです。。

  4. sepia より:

    吉池なにげに高いな。
    いつもアメ横の露店まで足伸ばしちゃう。
    こういう知恵を使った料理はタメになる
    食べ方のわからない人は一生わからなくて食べないから

    • wacky より:

      吉池は高いものは高いですね。。いいものを入れているという自信もあるのでしょう。アメ横は地上のお店はちょっと……鮮度が怖く……w

  5. 通りすがりの米 より:

    日田と竹田とで魚への所業の差があることについて。
    うらを実際に調べた訳ではないのでなんともいえませんが、水系の違いがあるのではないでしょうか?
    竹田は大野川水系、日田は筑後川水系の街なんですよ。魚を運ぶのに川を遡ってきたとしたら…大野川沿いより筑後川沿いの方が人口も多いでしょうし、胃袋だけってのも仕方ないような気がします。
    (そのへんは主さんの方が詳しいんじゃないでしょうか?)
    つまり鬼畜の所業は福岡県民説の可能性が微レ損()

    …失礼しましたw

    • wacky より:

      久留米出身ワイ、白目

      でも確かに水系と地形の差は考えるべきかもしれません。筑後川の河口は有明海の最奥部ですからそもそも水運がよいわけではないですし、そもそもタラ自体福岡で獲れるわけじゃないですしね。
      臼杵や津久井で獲れた魚をそのまま運んでこれる竹田のほうが、日田よりもまだ恵まれていたのでしょうか。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)