黒トリュフが数種類とれたので、欧州における分類(食材学的な)と対応させながら官能判断してみた

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今年最後の収穫を得るべく、小林銅蟲氏をお誘いしてトリュフ(セイヨウショウロ属)のシロを巡回してきた。
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(氏がどのように調理したのかはこちら

半分以上はその役割を終え、バグサレ(溶けて朽ちていること)になっていたが、いくつかちょうどいい成熟具合のものもあり、しっかりとした香りを漂わせていた。
環境を傷つけないよう注意しながら、食べごろのものだけを頂いてきた。

 

日本の黒トリュフ、いったい何種類あるんだ

トリュフ(セイヨウショウロ属)Tuber spp.のキノコは意外なほどたくさんあり、最近では超絶高級食材として知られる白トリュフ(数十万円/100g)と近縁と思われるホンセイヨウショウロという種が新種登録されている。
我が国にもたくさんのトリュフがあり、今後も見つかっていくのは間違いない。
近いうち、キノコ狩りの際に地面を舐めるように凝視する行為が一般的になっていくだろう。
(なお先日、キャンプ場の横で四つんばいになりながらうろつく成人男性3名が確認され、観光客を恐怖させていたという報告が入っています。)


そして、既に見つかっている種も、研究が進むにつれて実は複数の種が合わさっていたものだと判明したものがある。
キノコ研究の本場であり、かつトリュフの市場価値が認められているヨーロッパにおいてもたびたび新種が分離されているのだから、地下生菌の研究が全く始まったばかりの日本ではさもありなんというところだ。


今回入ったポイント(2カ所)は、初めてトリュフを見つけた場所とは違うのだが、それぞれの場所で採れたものは一見すると似ているものの、よく観察するとそれぞれ異なった特徴を見せている。


●ポイントA(最初に見つけたところ、マツ主体に他樹の混合林)
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・最大で直径7㎝ほど、平均しても4~5㎝と大きい
・表面のいぼは大きいがやや平面的
・発生数は中程度、単生する


●ポイントB(新規開拓地、マツ主体)
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・あまり大型でない
・表面のいぼは小さい
・単生、発生数が少ない


●ポイントC(マツはない)
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・最大でも直径4cmほど、平均は3㎝以下
・表面のいぼが大きく立体的
・発生量多く、1ヶ所に群生する

※ポイント保護のため最小限の情報のみ掲載しています。研究者の方でより細かい情報が必要な方はご連絡ください。
※便宜上マツをポイントにしていますが、あまり関係なさそう……


ポイントCでは茶色がかった別種のものも確認された。
「地下生菌識別図鑑」(佐々木廣海・木下晃彦・奈良一秀、誠文堂新光社、2016.5)でいうとウロイボセイヨウショウロにやや近いが、はっきりしない。

食べ比べてみよう

キノコ、とくに地下生菌の識別・同定には顕微鏡が必要になってくるのだが、食菌の確認にいちいち顕微鏡を持ち出すのはなかなかに鬱陶しい。
ヨーロッパでも伝統的に官能判断がなされてきているので、僕もそれに倣って、食べてみてから考えることにする。
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上から時計回りに、ポイントCのもの、ポイントBのもの、同茶色のもの。
既に散々食べているポイントAのものと比較し判断していこう。

上から時計回りにB、C、茶色

上から時計回りにB、C、茶色


スライスしたところ。
どれもAのものと比べて色味が濃いが、これは胞子の成熟によるものではなく、根本的に種類が違うものなのかもしれない。
Aのスライス

Aのスライス


ヨーロッパでは断面の色も判別のための大事な要素とされている。

それでは実食。
……(ー~ー)……

Bはクルミやアーモンドのようなナッティな香りで、どちらかというと穏やかだ。
肉質は柔らかく、スライスを折り曲げるとすぐにパキンと割れる。
料理を選ばず、なんにでも使いやすそうだ。

Cはシンナー、ガソリンや胡椒系の、刺激的で力強い香り。
肉質はやや強靭で、スライスにしても口の中での存在感が強い。
オリーブオイルだけの単純なパスタに使ったり、オイルや塩に香りを移すのに使うならこれが一番向いているかもしれない。

蜂蜜に漬けて

蜂蜜に漬けて


ブルーチーズにかけると最強

ブルーチーズにかけると最強

茶色のものは、これらの中では一番香りが弱く、クルミ様の軽いナッツ香。
歯ごたえはシャリシャリとして、ジャガイモやリンゴのようなカンジがする。
そもそも食べて良いものなのかもわからないし、茶色のものはしばらくは採らないかな。


こちらのサイトの記述に従うと、BはヨーロッパでいうところのサマートリュフT.aestivum Vittの特徴を持っているようだ。
サマートリュフはクロアミメセイヨウショウロという和名が与えられており、日本にも発生するとのことで、これがそれに当てはまるのかもしれない。

Cは「地下生菌生態図鑑」P.127の「狭義のイボセイヨウショウロT.indicumに酷似しているが、上記のサイトでいえば秋トリュフ(T.uncinatum Chatin)と最も特徴が似通っている。

Aのものは広義のイボセイヨウショウロなのは間違いなさそうだが、ヨーロッパ産のどれともわずかに特徴が異なり、日本(もしくはアジア)固有種なのかもしれない。


僕のレベルで官能判断できるのはここまで。
あとは研究者や専門家の皆さまの力をお借りしたいところです。

表がこれで

表がこれで


裏がこれの個体とか、もうこれわかんねぇな

裏がこれの個体とか、もうこれわかんねぇな

 
 
 

コメント

  1. らんらん より:

    どうにかこうにか手に入れたいと思ってるのですがどうすればいいんでしょう

    関東平野のど真ん中に住んでるので皆目見当がつかなくて途方にくれております。
    シーズンが終わっちゃうよう…

    • wacky より:

      探し方に関して言えば「地下生菌識別図鑑」に書いてあることで十分かなと思います。あとは運ですかね。
      僕らも普段から通っていたところで偶然見つけたという事実がありまして、知識として持ってはいても、意識しないと簡単に見落としてしまいます。
      逆に現在では、生えそうな環境があれば覗き込む習性が身につきまして、次々に新しいポイントを見つけられるようになりました。

  2. ひろ より:

    学名、分類等はわかりませんが、洋食店で使う輸入トリュフの場合、サマートリュフはサクサク&ナッツ香
    冬トリュフはちょっと消しゴムっぽい固さ&エステル系の揮発香+ニンニクなかんじですね~。
    野食ファンのコックより。

    • wacky より:

      やっぱり! まさにその通りの印象です。やはりサマートリュフがクロアミメセイヨウショウロ、冬トリュフがイボセイヨウショロ(狭義)と近縁なんじゃないかなぁ……
      いぼがデカいものの方が香りが強く利用価値は高そうです。

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