コウタケが採れたので幻のラーメンを作る

グルメ漫画が好きでよく読んでいる、というと大概「美味しんぼですか?」と聞かれる。
いや、もちろん美味しんぼは大好きだし、料理名を聞いたら掲載巻数を答えられるくらいには読み込んでいるんだけど、ほかにも面白いマンガはいっぱいある。
最近楽しんでいるのが「食戟のソーマ」と「ダシマスター」。

現在連載中のソーマはまだしも、ダシマスターなんて連載打ち切りのドマイナー漫画じゃないかという人も多いと思うが、テーマが「出汁」とあって、時間さえかければ自分でも再現できるところが良いと思うのだ。

 

コウタケで作る「幻のラーメン」

さて、「ダシマスター」 4巻に、「最後の一杯」という回がある。
山形の田舎の民宿のオバちゃんが生前振舞っていたラーメンを、調理器具に残っていた香りをヒントにダシマスターが再現する、というストーリーで、カギとなる食材が「コウタケ」というキノコだった。

コウタケ,幻

若い食べごろのコウタケ

コウタケはコナラと松が混植する雑木林に発生するキノコで、天然キノコの中でもトップクラスの人気を誇る。
プロも目の色を変えて探し回るキノコで、マイタケやマツタケと同じくそのシロ(毎年発生する場所)を知るものはひた隠しにする。
僕もキノコ狩りストの端くれとして、毎年2,3本のコウタケを採集することができていたのだが、今年は運よく発生のタイミングに山に入れたようで、新鮮な状態のものが菌輪を描いているのに遭遇することができた。

コウタケ,束生

黒く、大きくなり、波打つ。ラフレシアみたいだ

コウタケ

落ち葉に似ているので見つけにくい。意外とプロが通った後にも残っていたりする

これらすべてで小売価格で2万円くらいにはなるだろうか。


コウタケ狩りの盛んな広島県では、巨大なサイズのコウタケが採れたら「コウタケ童子」の舞を踊る、といつか見たウェブサイトに書いてあった。
どんな踊りかさっぱりわからないが、とりあえず舞っておくことにする。

コウタケ童子

コウタケ童子の舞

コウタケ,乾燥

乾燥コウタケ とてつもなく香る

このキノコのいいところは、シイタケのように乾燥して長期保存ができる点にある。
しかもシイタケ同様乾燥すると香り・味ともに数段レベルアップする。

コウタケは本当は「革茸」という字を当てるらしいが、ほとんどの文献では(もちろんダシマスターでも)「香茸」という字を 当てているほどに香りが強い。
ちょっと独特な、たまり醤油をちょっと焦がして香ばしくしたような強い香りがある。


たとえばマツタケの香りは海外では「軍人の靴下臭」と言われるほどに嫌われているが、このコウタケは生の時は発酵臭の強い醤油の様な香りで、黒トリュフに限りなく近い。
きっと海外でも ウケるのではないだろうか。(試しにクリームパスタに入れたらたいそう美味しくなった)
探す時もトリュフ豚になった気分で鼻を利かせながら探すと見つかることがある。

コウタケラーメンを自作する

さて、せっかくコウタケが手に入ったので、その「幻のラーメン」とやらを再現してみない手はない。
ダシを取るなら一度干してからにしたほうがいいので、乾燥させたものを用意した。

漫画によると、他に使用されていたスープの材料は
・山形地鶏
・鯛の煮干し
これにコウタケを加えた3つのダシをあわせて作るという。

このうちタイの煮干しも厳選素材を用意した。

タイ焼干し

玄海島産マダイ(笑)

福岡・玄界灘産の小鯛をじっくりと焼き、水分を飛ばしたものである。
焼干しじゃん、というツッコミはできるだけなしでお願いしたい。
福岡旅行の際に玄海島で釣り上げたもので、針を飲み込んでお陀仏になってしまったものを持って帰り加工しておいたのだ。

こんな形で役に立つとは、玄海島くんだりまで行ってこれしか釣れなかったのも、きっと運命だったに違いない。

地鶏は…ごめんなさい、ガラが見つからなかったのでこいつでご勘弁を。

それぞれ別々に煮込んで、丁寧に灰汁をとりながら濃縮ダシを抽出していく。
コウタケからは香りに加えて見た目も完全に醤油の様な黒いスープがとれた。

これらを合わせ、茹でた麺とチャーシュー、メンマを盛り付けると…

ダシマスター,幻のラーメン,コウタケ

ダシマスター特製 幻のラーメン 煮コウタケ入り

完成!

あ、小口ネギ忘れてた。まあいいや。


さて実食。
見た目は東京系の辛口醤油スープ。

香りは…ソムリエ風にいうと「アロマは焦がし醤油の様な香ばしさ、スライスされたばかりの黒トリュフの様な土の香り、次いで小鯛のさわやかな魚介臭が鼻腔をくすぐる。レンゲを揺らすと地鶏の風味が極めて控えめに現れる。」

そして味。「アタックは上品ながら力強いキノコの風味があり、ポルチーニの旨味をほうふつとさせる。小鯛と鳥のスープは主張しすぎることなくまとまり味に奥深さをもたらす。醤油の風味がフィネスを与え、後味にほんのわずかに残る苦みが余計な余韻を打消し、次の一口へと意識を誘う。」


一口で言うととてもおいしい

醤油をほとんど入れていないのに醤油味という不思議なラーメンで、味の素も入れていないのに強烈な旨味が舌を襲う。
オリジナルではダシを取った後のコウタケは捨ててしまっていたようだが、風味が残り、またしゃきしゃきとした歯ごたえが心地よいので具に追加してみた。真っ黒な色合いはいただけないが味は抜群だ。


実験レシピが美味しく仕上がった時のうれしさは一言では言い表せられない。
ましてや食材から自分でゲットしたのだ。いまこの喜びを心から分かち合えるのはきっとTOKIOのメンバー(太一君のぞく)くらいだろう。

東京のラーメン屋でこのラーメンを出すと、きっと一人当たり2~3000円くらいになってしまうと思う 。
なんせ豊作だったもんで、しばらくは楽しもうと思います。どうしても食べてみたい、という人は連絡くださいな。

 
 
 

コメント

  1. あね より:

    きのこのフォルムと舞のくだりで、これっていのはなぼうずのきのこでは?とピンときてぐぐってみたらビンゴ(≧∇≦)!
    てことは童子の舞とは、ごっこりごっこりちらみせれ、ではないのか!!

    • wacky より:

      あねき

      絵本とは…ッ!
      しかしよくピンときたもんだね。うちにあったっけ?

  2. あね より:

    うちにあったよ〜
    最後にばあちゃんが、こんやはいのはなめしのおおごちそう!ていうセリフがあって、いのはなめし食べてみたい(。・ρ・)て思ったの覚えてる

    • wacky より:

      そうだっけか…覚えてないなぁ。読んでみたいが手に入れるのはなかなか骨が折れそうだね
      まあまだコウタケいっぱいあるから、イノハナ飯食べたけりゃ作るでよ。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA