「外来魚のレシピ」読破!(書評)

あけましておめでとうございます!
今年も目一杯変なものを食べてレポートしていきたいと思っています。
正直ネタが枯渇状態で、目に入ったものは何でも口に入れるような方向でがんばって参りますので、どうぞ今年もよろしく御贔屓に。

さて、新年一発目ですが、サイト更新の参考になる面白い本を読破したので、書評を公開させていただこうと思います。

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「外来魚のレシピ」(平坂寛著、地人書館、2014)は9月の発売直後からAmazon、hontoなどのネット書店では売り切れ状態になってしまったほどのベストセラーだ。


僕は発売開始日に、丸の内の丸善本店で残り一冊だったものを大事に押し頂いてきた。
(ネット書店に対する取次さんのリアクションの遅さには、自分も一編集者としてたびたび頭を抱えさせられている)

このブログを読んでくださるみなさまの大半は、きっと最近の平坂氏の活躍を知っていると思うので、いまさら説明を重ねる必要はないだろう。

氏のハンティングスキルの高さ、博識ぶりそして飽くなき探求心には常々驚かされている。
文章もとてもユニークで面白く、これだけオカネがかかっている文章をタダで読めるなんて申し訳ないなぁ…とたびたび思っている。

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当書は基本的にはデイリーポータルZに掲載された記事の転載本なのだが、実際に読んでみると加筆部分がかなり多い。もはや新しい記事と言っても過言ではない。
それも痒いところに手が届くような修正で、彼の文章の魅力がより鮮明になっている。
加えてボリュームたっぷりの書き下ろし記事が2本もついている。これだけのために購入する価値はある。

内容はタイトルの通り、国内の環境に定着してしまっている外来魚や外来種を捕らえ、様々な手段で調理して食べるという彼のライフワークを、軽快な文章でまとめているものである。

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かつて平坂氏に話を聞いたことがあるが、彼の記事はしばしば「ゲテモノ喰いのすすめ」であるという誤解を受ける事があったようだ。

もちろんテキスト論に則れば、いかなる読み方も読者の自由ではある。しかし、彼のレポートをそのように読んでしまうことは、とてももったいないことだと思ってしまう。(著者の意図とも異なっているようだし)

僕は「ゲテモノ・いかもの喰いの面白さ」だけが彼の魅力ではない、というよりそれはかなり傍系の愉しみ方であると思う。

あくまで外来種(エイリアン)たちをこの国の住人として受け入れ、真っ当な獲物として色眼鏡を通さずに扱い、食べる。
そこには昨今流行りの無闇な昆虫食や、何でもかんでも油で揚げてしまう某芸能人のような色物の短絡さはない。

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魚に限らず、外来生物の問題はしばしばクローズアップされる。
そしてその代表ともいうべきブラックバス・ブルーギルは、いまや天下の大悪党としてその名をとどろかせている。

しかし言わずもがな、彼らは食料として我が国に持ち込まれたものであり、もとよりそこに悪意はなかった。
「戦後の食糧難を、繁殖の容易なブルーギルで解消したい」と願った魚類学者の今上陛下ですら、まさかアメリカではとても食べでのあるブルーギルが、日本の環境下で20㎝足らずにしかならないということを推測されるのは困難だったのだから。

そしてさらに、既に入ってきてしまった生きもの、生態系に組み込まれてしまった者たちを排除するというのは不可能に近い

昨年、日本郵便が発行した「世界遺産・富士山」をテーマとした切手の中に、外来種として問題視されているコブハクチョウが描かれるという“事件”があった。

彼らエイリアンはすでに、我々の意識と不可分のところにある。
そうであれば、より生産的なのは彼らをむやみやたらに排除することではなく、正しい付き合い方を考えることであり、その中に「食材としての利用」が入ってくることはごく自然な道である。

平坂氏が現在メディア各方面から引っ張りだこなのは、彼のそのような考え方に賛同する人が増えているためではないかと思う。

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氏はこの本を「軽い気持ちで楽しんで読める」ものにしたいと語っているが、僕としてはぜひ環境省の役人と環境アセスメントに携わる皆さんのための教本となればいいのに、と思っている。

後書きまで楽しんで読めて、読み終わったあとはしっかりと考えさせてくれる良書である。まだの人は是非一度読んでみることをオススメしたい。

 
 
 
 

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